
米国とイランの軍事衝突から3カ月が経過し、日本のエネルギー安全保障の脆弱性が浮き彫りになっています。2026年2月28日に米国がイランへの軍事攻撃を開始し、イランが報復としてホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、日本が中東に依存するエネルギー調達は深刻な打撃を受けています。
財務省の貿易統計によると、4月の原油輸入量は448万キロリットルで前年同月比63.7%減となり、記録が残る1979年以来の月間低水準を記録しました。中東からの原油輸入は384万キロリットルで67.2%減少し、石油化学製品の基礎原料となるナフサを含む「揮発油」も79.4%減と大幅に落ち込んでいます。資源エネルギー庁によると、3月の原油輸入量は前年同月比16.5%減でしたが、4月以降は代替調達が進まず、減少幅が急拡大しました。
日本は2025年時点で原油の93.5%を中東に依存しており、その大半がホルムズ海峡を通過して届けられています。日本の石油の中東依存度は95%超に達し、アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアからの輸入がそれぞれ4割を占めています。世界の原油消費量の約2割がホルムズ海峡を通過するとされる中で、日本は主要輸入国の中でも特に大きな影響を受けています。
政府は石油備蓄法に基づき、3月16日から過去最大規模となる国家備蓄と民間備蓄合わせて45日分の放出を開始しました。具体的には、民間備蓄義務量を70日分から55日分に引き下げたほか、菊間国家石油備蓄基地(愛媛県)など全国11カ所の基地から順次放出を実施しています。経済産業省は約850万キロリットルを石油元売り4社に約5400億円で売却し、4月には第2弾として約20日分の国家備蓄放出を追加で決定しました。
高市早苗首相は4月24日の中東情勢関係閣僚会議で、5月の原油調達について前年実績の約6割を米国などからの代替輸入で確保できるめどがついたと明らかにしました。日本は2月時点で原油輸入の9割をサウジとUAEに頼っていましたが、5月には米国産の割合を2%から2割強に拡大する代替調達を進めています。ナフサについても、経済産業省は4月に中東以外から到着する量が90万キロリットルと平時の45万キロリットルから倍増する見通しを示しており、米国、ペルー、アルジェリア、オーストラリア、インドからの調達を拡大しています。
しかし、現在の備蓄は国内消費量の200日以上を確保しているものの、米国とイランの協議は難航しており、合意に至ってもホルムズ海峡の完全開放には1カ月ほどかかる見通しです。中東情勢は火種としてくすぶり続けるとの見方が多く、日本にとって調達先の多角化は喫緊の課題となっています。
備蓄放出で供給維持も長期化への懸念
政府は石油備蓄の活用により、当面のガソリンなどの石油製品供給に支障が生じないよう対応していますが、封鎖の長期化には警戒感が強まっています。木原稔官房長官は3月30日の会見で「現時点でただちに需給上の問題は生じていない」と述べましたが、石油化学各社のナフサ在庫は国内需要の約2カ月分にとどまっています。国際エネルギー機関(IEA)の32加盟国は石油備蓄放出で合意し、日本は3月16日から放出を実施していますが、ホルムズ海峡の航行の自由が保障されるかは予断を許さない状況です。












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