
三菱UFJ銀行が、残高がないまま放置されている投資信託口座、いわゆる「カラ口座」の整理に踏み出します。同行は「投資信託総合取引規定」を2026年3月16日に一部変更し、お預かり残高がゼロの状態で1年間が経過した投資信託口座について、同年6月以降、一定の条件に基づき順次自動解約する運用を始める方針です。メガバンクではこれが初の取り組みです。
ただし、NISA口座や投信つみたて(継続購入プラン)などの契約が紐づいている場合は自動解約の対象外となるなど、一定の条件に該当する口座は解約しないと明示されています。
背景には、NISAの普及に伴って既存の投信口座からNISA口座へと取引の主軸を移す動きが広まったことも一因とみられます。すべての投信商品を売却・解約した後に口座だけが残高ゼロのまま放置されるケースが増えてきたためです。こうしたカラ口座は再利用時の事務手続きの煩雑化や管理コストの増大につながることから、同行は自動解約を通じて事務負担の軽減を図る考えです。
加えて、金融犯罪の未然防止という狙いもあります。2025年を通じて証券口座の乗っ取りによる不正売買が急増し、金融庁が2026年1月14日に発表した集計では、2025年1〜12月の不正アクセス件数が1万7559件、不正売買額は累計7393億円に達しました。使われていない口座や残高のない口座を整理することで、不正アクセスや不正取引の温床になり得るリスクを減らしたい考えです。
同行はすでに、一定期間取引がない預金口座から手数料を徴収し、残高ゼロになった場合に自動解約する仕組みを導入しており、今回の措置はその流れを資産運用分野にも広げるものといえます。残高やNISA・つみたて契約の有無によって扱いが分かれるため、自らの投信口座の利用状況をこまめに確認することが一段と重要になりそうです。
広がる「休眠口座」整理の動きと投資家への影響
投資信託口座のカラ口座対応は、業界全体で広がる休眠口座見直しの流れの一環です。ネット証券では、マネックス証券が先行事例として挙げられます。2023年3月18日の約款改定で、3年間取引やログインがなく残高もない口座を対象に、顧客に取引継続の意思を確認したうえで解約できる取り扱いを導入しました。
証券口座乗っ取り被害の急拡大も、こうした動きを後押ししています。2025年4月のピーク時には、月間の不正取引金額が約3045億円、不正アクセス件数は5468件に達しました。その後は証券会社によるセキュリティ強化が進み、減少傾向に転じています。
投資家にとっては、長らく放置している投信口座がないか、NISA口座やつみたて契約の有無を含めて、自身の資産管理の在り方を見直す契機となりそうです。












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