
ソフトバンクが主導する国産AIの基盤モデル開発プロジェクトに、旭化成や富士通、安川電機など国内製造業を中心に出資を検討する動きが広がっています。新会社「日本AI基盤モデル開発」(東京都渋谷区)は、ソフトバンク、NEC、ホンダ、ソニーグループが中核4社として設立しました。
製造業を中心とした約30社への出資を呼びかけており、幅広い企業連合の構築を目指す方針です。出資額は1社あたり数千万円規模とされ、まずは10社前後が6月にも参加を決める見通しです。
新会社は、ロボットや車両、工作機械など実世界の装置を自律的に制御する「フィジカルAI」の中核となるマルチモーダル基盤モデルを国産で開発し、国内企業への幅広い提供を目指しています。
背景には、世界のAI開発で米中勢が先行するなか、日本企業が強みを持つ『ものづくり現場のデータ』を生かすという狙いがあります。製造ラインや物流、ロボットなどを高度に制御できる領域特化型AIで存在感を高める考えです。
新会社は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募する「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」への応募も見込まれており、2026年度から5年間で総額約1兆円規模とされる官民プロジェクトに組み込まれる可能性があります。
採択されれば、基盤モデル開発と併せて、製造現場が保有する膨大な企業データを安全にAI学習に活用できるインフラ整備も一体的に進む見通しです。
データセンターと長期計画 フィジカルAIで日本の強み活用へ
ソフトバンクは、国産AI開発を支える計算基盤として、大規模GPUを搭載したAI向けデータセンターの整備も並行して進めています。堺市のシャープ堺工場跡地を活用し、国内最大級となる150メガワット規模のAIデータセンターを構築する計画で、2026年中の稼働開始を目指しています。
開発されるAIモデルは、将来的にロボットや車両の高度な自律制御に使うことを想定しており、画像や音声など複数の情報を同時に扱えるマルチモーダルAIとして進化させる方針です。NEDOが公募する同事業は2026年度から最長5年間で実施され、このプロジェクトとの連携が開発加速の鍵となります。
世界のテクノロジー大手は、生成AI向けデータセンターやGPU調達に巨額投資を続けており、日本勢が単独で対抗するのは難しい構図といえます。こうしたなかソフトバンクと国内製造業各社は、日本企業が製造現場で蓄積してきた産業データを活用し、工場や物流などの現場特化型AIで差別化を図る狙いです。
今後、企業独自のデータをいかに安全にAI学習へ活用できるかが、国産AIの競争力を左右する焦点になりそうです。







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