
5月29日の米金融市場では、株式相場が小幅高で取引を開始しました。最大の焦点となっていた米国とイランの対立において、両国が60日間の停戦延長に合意したと伝わったことで、中東情勢を巡る地政学リスクが急速に後退しました。戦争が終結に向かうとの期待感が広がり、市場心理を大きく支えています。これに加えて、人工知能(AI)関連のインフラ投資が企業の収益力をさらに押し上げるとの観測が、相場全体を力強く牽引しています。
米国の代表的な株価指数であるS&P500種株価指数は、イランとの戦争開始直後につけた安値からおよそ20%もの大幅な上昇を記録しており、週間ベースでは2023年以来となる9週連続高という歴史的な上昇の勢いを見せています。この日も引き続き買いが先行し、過去最高値を更新する可能性が視野に入っています。個別銘柄では、AIサーバー需要の爆発的な拡大を背景に堅調な業績見通しを示したデル・テクノロジーズが市場の注目を集め、株価が33%高で取引を始めるなど、ハイテク株を中心に活発な資金流入が観測されています。
この米国とイランの協議進展によるリスク選好姿勢の強まりは日本の金融市場にも波及しており、東京市場では日経平均株価が終値で史上初となる6万6000円台に乗せる記録的な動きを見せました。また、停戦合意を受けてホルムズ海峡など世界のエネルギー供給網に対する不安が和らいだことから、原油先物価格は急下落しています。北海ブレント原油は1バレル当たり92ドル付近まで下げており、月間としてはパンデミックによる混乱があった2020年以来となる大幅な下落率で今月を終える見通しとなっています。このように、AIによる構造的な成長期待と、懸念されていた地政学リスクの劇的な緩和という強力な二つの好材料が重なり、グローバルな金融市場は記録的な活況を呈しています。
円相場は159円台で推移、月末要因や介入警戒感も
外国為替市場では、ドルが主要通貨に対してほぼ横ばいで推移しています。29日の東京市場における円相場は、午後5時時点で1ドル=159円26~28銭と、引き続き歴史的な円安水準での取引となりました。対ユーロでは1ユーロ=185円37~41銭となっています。中東の停戦期待により「有事のドル買い」を解消する動きが出たものの、来年早期の米利上げ観測が根強く、ドルの底堅さを支えています。
米国債利回りは小幅にまちまちの動きです。この日は複数の連邦準備制度理事会(FRB)当局者の発言機会があり、月末の指数リバランスに関連した買いが入る可能性もあります。なお、日本の財務省が29日に発表した直近1カ月間の為替介入総額は過去最大の11兆7349億円に達しました。市場では政府・日銀による追加介入への警戒感もくすぶる中、神経質な展開が続いています。












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