MIXI創業者・笠原健治氏、総額18億円規模の保有株を社員約1700人に無償譲渡

MIXI創業者・笠原健治氏、総額18億円規模の保有株を社員約1700人に無償譲渡

MIXIは2026年5月29日、同社創業者で取締役の笠原健治氏が、自ら保有する同社の普通株式を、グループの正社員・役員など約1700人に無償で譲渡すると発表しました。贈与総額は時価にして約18億円規模に上り、創業者個人による一度きりの株式贈与としては国内最大級とされています。

この取り組みは、笠原氏が自身の信念として「会社の成長を社員と分かち合いたい」という思いを形にしたものです。笠原氏は「日々現場で考え、動き、支えてくれた一人ひとりの存在が、今のMIXIを形づくってくれた。感謝の気持ちを形にすると同時に、会社の成長や可能性をより身近に感じてもらいたい」とコメントしています。同社は現在の局面を「第三の創業期」と位置づけており、今回の株式贈与はその節目における象徴的な施策となっています。

贈与される株式は約68万株で、発行済株式の約1%、笠原氏の持ち分の約2%相当に当たります。2026年5月28日時点の時価総額で約18億円相当となり、実施時期は2026年9月30日を予定しています。対象者はMIXI本体の正社員およびエキスパート社員、ならびに完全子会社の正社員・役員で、2026年6月1日時点での在籍者が対象となります。1人当たりの配分は明らかにされていませんが、総額を単純に人数で割ると1人当たり約106万円に相当します。

類似した先行事例としては、大手中華ラーメンチェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高の創業者・神田正会長が2018年と2023年の2度にわたって従業員に株式を贈与した事例などがあります。2023年の贈与額は約4億2000万円規模で、今回のMIXIの案件はその規模を大きく上回るものです。

MIXIは1997年に求人情報サイト事業として創業し、その後SNS「mixi」をはじめ、スマートフォンゲーム「モンスターストライク」、家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」、競輪・オートレース投票サービス「TIPSTAR」など、コミュニケーションを軸とした多彩なサービスを展開してきました。代表取締役社長CEO・木村弘毅氏のもとで経営体制を整え、2025年3月期の売上高は1,548億円、営業利益は266億円と、前期比で大幅な増益を達成しています。

創業者による「分かち合う」還元モデルが注目を集める

今回の取り組みが特に注目を集める理由のひとつは、株式が会社の資産ではなく、笠原氏の個人資産から拠出されている点にあります。通常の給与・賞与とは異なり、株式を保有することで社員は「会社の成長がそのまま自分の資産増加につながる」という当事者意識を持ちやすくなるとされており、働く意欲の向上にも寄与すると期待されています。

贈与された株式には譲渡制限が設けられるかどうかについては現時点で明らかにされていませんが、「第三の創業期」を迎えたMIXIにおいて、社員が株主の視点を持ちながら事業に向き合う環境づくりが狙いとも読み取れます。人材確保や社員のエンゲージメント向上が企業の重要課題となる中、創業者が自己の保有株を直接社員へ還元するこの手法が、他の企業にも広がる先例となるか、今後の動向が注目されます。

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