
米オープンAIは5月27日、11月に控える米国の中間選挙に向けて、人工知能(AI)の悪用防止策を発表しました。同社が展開する対話型AI「ChatGPT」において、選挙期間中の政治広告の掲載を全面的に禁止します。同社は2026年中に無料版や低料金プランに広告を導入し、回答の下部に表示する計画を進めていますが、選挙戦に影響を与える政治広告は厳格に排除されることになります。
さらに、AIを用いたサイバー攻撃の脅威が増加している現状を受け、投票集計機のメーカーなどの選挙インフラ企業に対してサイバー防御に長けた高性能のAIモデルを提供し、ハッキングの防止に役立ててもらう方針です。また、2026年秋以降の米国とブラジルでの選挙では、当日の開票状況に関する利用者の質問に対し、ChatGPTが直接答えられる新たな仕組みを導入します。これは、23年から提携しているAP通信が集計する確実な速報データを取り込むことで実現します。従来は誤回答を避けるため、選挙結果についての直接の回答を避け、ニュースサイトへ誘導する傾向がありましたが、公式データとの連携により有権者へタイムリーな情報提供が可能となります。
ディープフェイクと呼ばれるAI製の偽画像や動画への対策も大幅に強化されます。偽情報の多くが流通するプラットフォームにおいて、コンテンツの出所や編集過程を暗号化して記録する標準規格「C2PA」に準拠する取り組みを進めます。これに加えて、米グーグルが開発したAI生成コンテンツをピクセルレベルで見分けるための電子透かし技術「シンスID」を新たに採用します。画像が切り取られたり加工されたりしても追跡可能な最新技術を用いることで、有権者を惑わす偽情報がSNS事業者などを通じて急速に拡散される事態を水際で防ぐ構えです。
選挙活動における利用の線引きと政治的中立性への配慮
オープンAIは利用規約を通じて、選挙活動におけるAIの利用制限をより明確に規定しました。特定の候補者や政党に対する支持や不支持、また住民投票への賛否について有権者に直接訴えかける宣伝文書や投稿の作成にAIを用いることは、引き続き固く禁じられます。一方で、候補者の選挙陣営などが内部資料の作成や計画の立案といった「事務作業」にAIを活用することは可能であるとし、運用の線引きを明確にしました。
さらに同社は、AIが特定の政党や候補者を有利にしないよう努める姿勢を表明しています。ChatGPTの回答が常に政治的に中立であるよう、モデルの偏りを継続的に監視すると説明しました。これは、米国の保守派の一部から「AIの回答内容がリベラル寄りに偏っているのではないか」という懸念の声が上がっていることに配慮した措置とみられます。米大統領選のあった2024年と比較して格段に高性能なAIが社会に普及した現在、同社は悪用リスクの増大を重く受け止め、対応を広げています。












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