
ウクライナの隣国であるルーマニアの東部ガラツィで、集合住宅にロシアの無人機(ドローン)が墜落し、住民に負傷者が出る事態が発生しました。この重大な事態を受け、ルーマニアのニクショル・ダン大統領は、国内に駐在するロシア領事の国外追放と、領事館の閉鎖を発表しました。
事件が発生したのは5月28日の夜から29日の未明にかけてです。ウクライナとの国境に近いルーマニア東部の都市ガラツィにある10階建ての集合住宅に、ロシア軍の無人機1機が墜落しました。無人機は建物の屋上に衝突して爆発を引き起こし、現場では火災が発生したため、住人約70人が避難を余儀なくされました。この爆発の影響により、2人が負傷し、手当てを受けました。
ロシアによるウクライナ侵略が開始されて以降、ルーマニア領内へのロシア軍無人機の領空侵犯はこれまでに約30回に上るとされています。しかし、民間人の負傷者が出たのは今回が初めてのケースとなります。
ルーマニア国防省の発表によると、この無人機は墜落する直前、ウクライナ南部から国境を越えてルーマニア領空内を約10分間にわたって飛行していたことが確認されています。ダン大統領はSNSを通じて、「軌道や経路、どのようにルーマニアに侵入したかを知っている」と明らかにし、ロシアの攻撃によるものであると断定しています。
この事態を受け、ダン大統領は「責任は、ウクライナ侵略を4年以上続けるロシアにある」と強く非難し、今回の出来事を「ロシアによる侵攻開始以来、ルーマニア領土に影響を与えた最も深刻な事案だ」と位置づけました。さらに、ルーマニアの主権に対する容認しがたい侵害だとして、南東部の都市コンスタンツァに駐在するロシア総領事館を直ちに閉鎖し、ロシア領事を国外追放する断固たる措置を表明しました。加えて、同盟国に対してドローン対策の徹底を要請するとともに、ロシアによる国際法違反として国連安保理事会に通知したことも明らかにしています。
同盟国と連携し防衛態勢を強化 ロシアの反発と今後の影響
ルーマニアが加盟する北大西洋条約機構も、今回の事態を重く受け止めています。NATOのマルク・ルッテ事務総長はSNS上で、「ロシアの無謀な行動は危険だ」と指摘しました。その上で、「NATOが同盟国の領土の1インチたりとも守る準備ができている」と述べ、無人機を含むあらゆる脅威から抑止し、防衛するための準備態勢を強化し続けると強調しました。
一方、ロシアのプーチン大統領は29日の段階で、「専門的な調査が行われるまでは、どこの国の無人機なのか誰にも分からない」と記者団に述べ、無人機がロシア軍のものであるかについては不明だと主張して関与を否定しています。
民間人に被害が及んだ今回の深刻な事案により、同盟国全体でのさらなる防衛力強化が求められると同時に、国境地帯や周辺地域における軍事的な緊張がさらに高まることが懸念されています。












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