
人工知能(AI)開発を手がける米スタートアップのアンソロピックは6月1日(現地時間)、SECに対してIPOに向けた登録書類(フォームS-1)の草案を非公開で提出したと発表しました。上場は早ければ2026年秋にも実現する可能性があり、具体的な上場市場や公募株数、公開価格のレンジなどは今後の審査プロセスを経て開示される見通しです。
アンソロピックは、生成AIモデル「Claude(クロード)」を展開しており、4月にはシステムの脆弱性を見つける能力を高めた新モデル「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」を公表するなど、企業や政府・金融機関向けの高度なAIサービスで存在感を高めてきました。 IPO申請時点での企業評価額は、5月末に実施したシリーズH増資を経て9650億ドルに達したとされ、わずか数カ月で評価額が大きく膨らんでいます。 上場後は時価総額1兆ドル(約160兆円)を超える可能性も指摘されており、実現すればITバブル期やコロナ禍以降の大型案件をも上回る史上最大規模の一つとなります。
同社は創業以来、ベンチャーキャピタルやテクノロジー大手からの出資に依存して事業を拡大してきましたが、巨大言語モデルの開発と運用には膨大な計算資源投資が必要であり、今後も継続的な資金調達が不可欠です。 IPOによって株式や社債を機動的に発行できる体制を整えることで、データセンターや半導体などへの投資余力を確保し、競合との技術競争や価格競争に備える狙いがあるとみられます。
AI・宇宙の巨大IPOレース、市場好況を追い風に加速
アンソロピックの動きと並行して、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXも、6月中旬にナスダック市場への新規上場を計画しており、企業評価額は最大で1兆8000億ドル超に達する可能性が報じられています。 5月には、スペースXがIPO目論見書を公開し、史上最大規模となり得る超大型案件として世界の株式市場の注目を集めています。
一方、オープンAIは、早ければ5月22日にも米当局に非公開でIPO申請を行い、最短で9月上場を目指すと報じられています。AI関連銘柄や半導体株がけん引する「AI相場」に支えられ、米国やアジアの株式市場では高値圏が続いており、3社はいずれも市場環境が良好なうちに潤沢な資金を確保しようと、上場時期を前倒しする動きを強めています。
アンソロピックは、増資で得た資金と今後のIPOにより、競合のオープンAIに先行して上場企業としての地位を確立することで、AIエージェントや企業向けサービスの拡大に弾みをつけたい考えです。 スペースXやオープンAIを含む「巨大3社」によるIPOレースは、AIと宇宙開発という成長分野に世界中のマネーを呼び込む起爆剤となるかが焦点となっており、今後の株式市場や技術競争の行方を左右する材料として注視されています。












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