
米連邦捜査局(FBI)が、世界各地に展開する国際的なオンライン投資詐欺グループを標的とした大規模作戦「オペレーション・ブラックアウト(Operation Blackout)」を実施。米政府として史上最高額となる、約80億ドル(約1兆2700億円)相当の暗号資産を押収したと発表しました。
カンボジアやタイ、ミャンマー、アラブ首長国連邦(UAE)などに点在する「詐欺コンパウンド」と呼ばれる拠点を一斉に急襲し、およそ300人を逮捕。強制労働などの被害に遭っていた約2000人を救出しています。FBI長官カシュ・パテル氏は「史上最大規模の押収」と位置づけており、サイバー犯罪対策における画期的な成果となりました。
摘発対象となったのは、SNSなどを通じて投資話を持ちかけ、信頼を得た後に高額な暗号資産投資を促して資金を奪う、いわゆる「豚の屠殺」と呼ばれる手口を用いる組織です。犯罪グループはアジアや中東の経済特区・国境地帯に拠点を構え、監禁やパスポートの取り上げによって労働者を拘束し、米国人を含む海外の一般投資家に詐欺行為を強要していたと指摘されています。
カンボジアの複合企業プリンス・ホールディング・グループの創業者兼会長チェン・ジー氏が中心人物の一人として訴追され、同氏に関連するとみられる約12万7000ビットコインが押収対象となりました。
同氏は現在も逃亡中とされています。その規模から、今回の作戦はサイバー犯罪対策にとどまらず、人身売買・強制労働といった人権侵害の構造に切り込む取り締まりとしても注目されています。
スターリンク端末7000台以上を停止 広がる詐欺と各国の対抗措置
FBIは今回の作戦にあたり、衛星通信サービス「スターリンク」を運営するスペースXなど民間企業とも連携しました。FBIが提供したジオロケーションデータをもとに、ミャンマー国内で詐欺拠点に利用されていた7,000台以上のスターリンク端末が停止されました。
ミャンマーや周辺地域では、地上インターネットを遮断しても衛星通信端末を通じて詐欺拠点が活動を継続するケースが指摘されており、通信インフラ側からの遮断を含む多層的な対策が取られつつあります。
一連の捜査は2025年にIC3に寄せられた約7万2000件の通報が端緒となったもので、暗号資産やSNSを舞台に拡大する国際詐欺に各国当局が踏み込んだ対応に乗り出していることを示しています。
日本でも同様の手口による投資詐欺やマッチングアプリ経由の被害が増えており、海外当局の摘発動向は国内対策を考えるうえでも重要な材料といえるでしょう。












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