世界の外貨準備、「安全資産」の主役が米国債から金へ ECB報告書が示す潮流転換

世界の外貨準備、「安全資産」の主役が米国債から金へ ECB報告書が示す潮流転換

世界の中央銀行が保有する外貨準備の構造が、大きな転換点を迎えているようです。 欧州中央銀行(ECB)が公表した報告書によると、2025年末時点で各国中銀の外貨準備に占める金(ゴールド)の比率が27%となり、米国債の22%を上回って最大の構成要素となりました。 金が米国債を比率で逆転するのは1990年代半ば以来、約30年ぶりとされています。 これまで「究極の安全資産」とされてきた米国債よりも金への比重が高まった背景には、地政学リスクの上昇や米国の財政・政治運営への懸念など、複合的な要因がにじみます。

従来、各国中銀は高い流動性と信用力を理由に、米国債などドル建て資産を外貨準備の中核としてきました。 現在もドル建て資産全体のシェアは約4割と依然として大きいものの、その比率は足元でじわりと低下していると指摘されています。 特に中国やインド、ロシアなどの新興国・資源国を中心に、準備資産の一部を金に振り向ける動きが加速しており、金保有の増加と米国債のシェア縮小が同時進行している格好です。 ECBの報告は、各国当局が「脱ドル」までは踏み込まないまでも、外貨準備の安全性と分散を改めて重視し始めている実態を浮き彫りにしたといえます。

トランプ政権下の不確実性と地政学リスク、新興国の「金シフト」が示すもの

ECB報告書では詳細な国・地域別の内訳は明らかにされていないものの、日本の大手メディアなどでは、金比率の上昇は特に中国やインドなど新興国中銀の積極的な購入が牽引したとの分析が紹介されています。 実際、中国は米国との対立激化に伴い米国債保有を減らしつつ、外貨準備に占める金の比率を高めてきたと報じられており、米国金融資産への依存を段階的に引き下げる戦略がうかがえます。 ロシアなど西側との対立が深まる国々も、将来的な制裁リスクを念頭に、差し押さえが困難な現物資産として金を重視する傾向が強まっているとされます。

一方で、米国債の位置付けが一気に揺らいでいるわけではありません。ドル建て資産は依然として世界の外貨準備の約4割を占め、国際決済や貿易金融の基軸通貨としての役割も続いています。 ただし、米国の財政赤字拡大や利払い負担の増加、そしてトランプ米政権の政策運営を巡る不確実性は、各国にとってリスク要因として意識されているとの見方も日本の報道で共有されています。 こうしたなかで、外貨準備の一部を金や日本円など他通貨・資産に振り向ける「静かなリバランス」が進行しているとの指摘もあります。 中長期的には、ドル一極集中から、金を含む複数の安全資産に分散する体制へと、国際通貨・金融システムの重心がゆっくりと移りつつあるのかどうか、その行方が注目されます。

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