グーグルAI検索に「参照拒否」 英国発の新ルールが突きつける課題

グーグルAI検索に「参照拒否」 英国発の新ルールが突きつける課題

米グーグルが、生成AIによる検索結果でニュースなどのサイトのコンテンツを参照する際、サイト側が利用を拒否できる新たな仕組みの提供を英国で始めました。英国の競争・市場庁(CMA)が命令として課したもので、世界展開も視野に入れているとされています。

背景にあるのは、検索画面上にAIが生成した概要を表示する「AI概要(AI Overviews)」などの機能です。CMAは、AI要約への記事利用を望まない報道機関など、一般的な検索結果の順位に影響を受けずにAI利用だけを拒否できる仕組みの導入を求めていました。

CMAは今回の命令を「世界初」と位置づけており、出版社はAI概要・AIモード・AIモデルの学習への利用を個別にオプトアウトできるようになります。グーグルにはこの仕組みを9か月以内に実装する義務があり、英国の一部サイトへの試験導入もすでに始まっています。

海外では、AI企業とコンテンツホルダーの関係は大きく変化しました。米Redditは2024年2月、グーグルとAI学習向けのデータ提供ライセンス契約を締結し、年間約6000万ドルの対価を得ることで合意しています。

ウィキペディアを運営するウィキメディア財団のライセンスプログラムに、2026年1月、AmazonやMeta、Microsoftなど複数の大手AI企業が参加し、データ利用への対価を支払う枠組みが整いました。有料ライセンスと利用拒否権を軸に、コンテンツとAIの新たな取引ルールが形になりつつあります。

日本では2025年12月24日、生成AI検索サービスを提供するIT企業と報道機関との取引について実態調査を開始すると、公正取引委員会が正式に発表しました。調査対象は、米グーグルやLINEヤフー、米マイクロソフト、OpenAIなど。AI要約が優越的地位の乱用につながる可能性も含めて検証され、海外の動向や規制と歩調を合わせる形になっています。

メディアとAIの「共存ルール」を探る

英国の新ルールは、AI検索における「ただ乗り」に対して初めて明確な拒否権を制度化した、象徴的な一歩です。CMAのサラ・カーデル最高経営責任者は「AI概要が急速にオンライン検索を変容させるなか、コンテンツ出版社が自らのコンテンツの利用方法について適切な交渉力を持つことが不可欠だ」と述べました。

米ペンスキー・メディアは2025年9月12日、グーグルのAI概要が独自記事をもとに回答を生成してユーザーが元記事を読まなくなるという実情を問題視し、連邦反トラスト訴訟を提起しました。ローリング・ストーンやバラエティなど傘下14媒体が原告となっています。

グーグルが英国で導入する参照拒否機能をどこまでグローバルに展開するか、そして日本のニュースサイトがAI学習・要約への利用をどの範囲で認めるかが、今後の焦点となっています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 歌手・俳優の美輪明宏さん死去 91歳、生涯を通じて「愛」を語り続けた半世紀
    歌手で俳優の美輪明宏さんが6月20日、老衰のため亡くなったことが所属事務所・オフィスミワにより公表さ…
  2. 「空飛ぶクルマ」研究に不正受給 日航、約2.9億円を国に返還
    空飛ぶクルマやドローンの研究開発をめぐる国の公募事業で、日本航空が補助金や委託費を不適切に受給。国立…
  3. ウクライナ製ドローンが日本市場を注視 防衛力強化とアジア展開の思惑
    ウクライナのドローン産業が、日本を足場にアジア防衛市場への進出を加速させつつあります。 ロシアとの戦…

おすすめ記事

  1. ひょうご矯正展 神戸刑務所の 地域共生の想い

    2025-12-24

    ひょうご矯正展が伝える、神戸刑務所の地域共生の想い

    「ひょうご矯正展」は年に1回、神戸刑務所が主催するイベントです。2025年で45回目を迎え、矯正行政…
  2. 沖縄刑務所の教育担当刑務官

    2025-11-18

    再犯防止のカギは“教育”にあり。沖縄刑務所で受刑者と向き合う教育担当刑務官の仕事とは

    刑務所の役割は単に自由を制限し、刑を執行することだけではありません。そこはまた、受刑者が自らの過ちと…
  3. 2023年11月11日(土)、12日(日)に開催された関西矯正展の看板

    2024-1-14

    日本最大規模の刑務所イベント!関西矯正展とは?

    関西矯正展は年に一度、大阪矯正管区および大阪刑務所主催により開催される今回で34回目のイベントです。…

2026年度矯正展まとめ

2026年度 矯正展まとめ

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る