
テレビ東京の吉次弘志社長が、NHKによるネットフリックス(Netflix)での番組配信再開をめぐり、公共放送としての在り方に配慮した対応を求めました。受信料で支えられるNHKと、広告収入を柱とする民放との「線引き」が、正式な議論となりつつあります。
NHKは5月20日、大河ドラマ「軍師官兵衛」や連続テレビ小説「まんぷく」など過去の人気ドラマを順次Netflixで世界配信すると発表しました。6月22日から日本国内を含む世界向けに配信を開始し、2026年度に合計19作品を提供する予定です。
第1弾として配信されるのは、大河ドラマ「軍師官兵衛」、連続テレビ小説「まんぷく」、ドラマ10「昭和元禄落語心中」、プレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」、ドラマ10「宙わたる教室」、ドラマ10「東京サラダボウル」の6作品です。
吉次社長は6月4日の定例社長会見で、受信料収入で運営されるNHKが民放と同様の形でコンテンツを提供することに言及。「受信料で成り立っているNHKが、あたかも民間企業と同じようにコンテンツを提供すること自体、少し自制的であるべきではないか」と苦言を呈し、「コンテンツの作り方も、お金の掛け方も根本的に違う」と指摘しています。
一方、NHKは日本文化の発信と海外展開の強化を目指し、Netflixとの連携により世界190以上の国と地域の視聴者に作品を届けるとしています。NHKは2015年からNetflixで番組を配信していたものの、Netflixが2022年11月に広告付きプランを導入し、NHK番組への広告表示が問題となって配信を停止していました。
今回の再開にあたっては、広告付きプランを含む全プランで視聴可能としながらも、広告は表示されない形での提供が条件とされています。
NHKは「海外展開の強化」を目指す一方、総務省・民放側が注視
公共放送の番組を有料配信サービスで展開することへの疑問や、受信料との「二重負担」に当たらないかという意見は、これまで国会や総務省の審議会でも繰り返し取り上げられてきました。
これに対し、今回の取り組みは、放送法第20条第2項第3号に基づき、配信事業者からの要請に応じてNHKのコンテンツを有料で提供するものです。NHKは受信料で制作したコンテンツの二次利用によって海外での日本コンテンツの存在感を高め、収入源の多様化にもつなげたい考えを示しています。
総務省もこれまでの審議会でNHKのインターネット活用業務について「民業圧迫」の観点から慎重な議論を求めており、今回のNetflix連携もその延長線上で注視される対象となっています。吉次社長の発言は、公共放送の国際展開と国内メディア市場の「公平な競争条件」をどう両立させるかという問いを、あらためて突きつけた形です。









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