
米議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が、KADOKAWAの夏野剛社長の退任を求める株主提案に賛成を推奨したことが明らかになりました。 この株主提案は、香港拠点の投資ファンド、オアシス・マネジメントが4月17日付でKADOKAWAに提出したもので、6月24日に予定される定時株主総会で夏野氏の解任と取締役再任議案への反対を呼びかけています。 ISSはリポートの中で、会社側が株主総会に上程する夏野氏および社外取締役の鵜浦博夫氏の選任議案について「反対」を推奨し、経営体制の見直しを支持する姿勢を示したとされています。
オアシスは約13.7%のKADOKAWA株式を保有する筆頭株主で、業績悪化やコーポレートガバナンス上の問題を理由に、130ページ超の詳細な資料を公開し、他の株主に解任案への賛成と再任議案への反対を求めています。 資料では、出版事業の収益性低下や、子会社フロム・ソフトウェアの人気ゲーム「ELDEN RING」に関する利益配分の在り方、動画配信サービス「ニコニコ」の競争力低下などを挙げ、夏野氏の経営戦略の失敗が企業価値を損ねたと指摘しています。 さらに、同氏がドワンゴ社長のほか複数の上場企業の社外取締役を兼任している点についても、「KADOKAWAの経営に十分に集中していない」と問題視しています。
一方、KADOKAWAは5月14日の取締役会で、オアシスによる解任提案に反対する意見を決議し、公表しました。 会社側は、1株あたり純利益が2021年3月期と比べて2026年3月期に半減する見込みであるとの指摘には一定の厳しさを認めつつも、編集者1人あたりの売上は伸長しているとして、「質より量」の出版戦略との批判は事実に反すると反論しています。 また、新中期経営計画の実行初期段階で代表執行役社長CEOを解任すれば、改革の継続性や経営の安定性を損なうとして、現経営陣の続投が企業価値向上につながると主張しています。 ISSの推奨により、これまで株主間の評価が割れていた夏野体制の是非は、24日の株主総会で一層厳しい審判を受ける局面を迎えつつあります。
ガバナンスと経営課題、24日総会で焦点
ISSがオアシス側の株主提案を支持したことで、KADOKAWAのコーポレートガバナンスと事業構造の課題が改めて浮き彫りになっています。 オアシスは、出版部門の利益率低下に加え、海外でのライトノベル規制強化など外部環境の変化を踏まえた戦略転換の遅れを指摘し、早期退職募集による人材流出懸念も含めて「持続的な成長に向けた抜本的な改革が必要」と訴えています。 この早期退職は45歳以上・勤続5年以上の社員を対象に実施されており、「筋肉質な体制の構築」を掲げる一方で、現場のノウハウ喪失を招くとの見方も出ています。
これに対し、KADOKAWAは、オアシスの公開資料には同社の事業運営や改革の進捗、新中期経営計画の内容について同社の認識と異なる記述があるとし、改めて自社の見解を示す文書を公表するなど、反論姿勢を強めています。 特に、夏野氏の解任が「改革の腰折れ」につながるとの懸念を強調し、社外取締役である鵜浦氏についても、取締役会や指名委員会の審議を主導してきた独立した立場のガバナンス要員だと擁護しています。
今回のISSの賛成推奨は法的拘束力を持たないものの、国内外の機関投資家の議決権行使に影響を与えるとみられ、24日の定時株主総会では、夏野氏の進退だけでなく、社外取締役を含む取締役会構成全体が問われる公算が大きいです。 物言う株主と経営陣の対立が深まるなかで、株主がどのような判断を下すのかは、日本企業のガバナンス改革やアクティビスト対応の今後を占う試金石としても注目されています。








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