
帝国データバンクが公表した最新調査によると、2026年1~5月に発生した経営コンサルティング業者の倒産・休廃業・解散は累計242件となり、過去最多だった前年を上回るペースで推移しているといいます。このままのペースが続けば、年間では2000年以降で最多となる600件超が市場から退出する可能性も指摘されており、コンサル業界は明確な「転換点」を迎えているとみられます。背景には、生成AIの急速な普及による業務代替の進行と、補助金申請代行ビジネスなど特定の収益源への過度な依存が重なった構造的な脆弱性があります。
帝国データバンクによれば、2023年度の国内経営コンサルティング市場は事業者売上高ベースで4兆円を突破し、従業員数も約17万人規模に拡大していましたが、近年は成長率が鈍化しつつあるとされています。拡大期には、補助金や各種制度を起点にした「申請代行型」のビジネスが急増しましたが、コロナ禍対応の一巡や審査の厳格化により案件は減少し、制度依存型モデルの限界が露呈しました。こうしたなかで、データ収集や基礎分析、汎用的な資料作成といった領域は生成AIの台頭によりコモディティ化が進み、付加価値を打ち出せない事業者ほど価格競争に巻き込まれやすくなっています。
一方で、優秀なコンサルタントの人件費は依然として固定費の多くを占めており、安易なコスト削減はサービス品質の低下と顧客離れを招くリスクが高いと指摘されています。売上急減と高コスト体質が重なることで資金繰りが悪化し、倒産や廃業に追い込まれるケースが目立ち始めています。専門家からは、生成AIの浸透は「コンサルタント不要論」ではなく、むしろリサーチや定型分析などAIで代替可能な工程と、経営者と議論を重ねながら戦略を練る高度な専門領域との二極化を進める契機になっているとの見方も出ています。今後、単なる制度説明や資料作成にとどまるサービスは縮小し、リスクマネジメントやM&A、新規事業開発など難度の高い課題解決を担える企業に需要が集まるとの観測が強まっています。
「制度頼み」からの脱却急務 AI時代に残るコンサルの役割とは
帝国データバンクの分析では、倒産・廃業が目立つのは、とりわけ行政向けの各種申請書作成代行や、節税スキームの指南など、制度や税制の“目利き”に依存したビジネスモデルの事業者だとされています。コロナ禍を機に拡大したIT関連補助金の申請支援も、審査基準の見直しや需要の一巡、新規参入の増加により収益性が悪化し、小規模事業者ほど特定スキームへの依存の高さが逆風となりました。AIツールの普及で、事業者自身が申請書のたたき台を容易に作成できるようになったことも、代行サービスの価格下落と差別化の難しさにつながっているとみられます。
一方で、国内外の大手ファームでは、生成AIをリサーチや資料作成の効率化に活用しつつ、経営戦略や組織変革、人材ポートフォリオの見直しなど、より高度なテーマに経営層とともに取り組む動きが広がっています。元大手コンサルティング会社幹部は、AI時代に残る価値は「企業固有の文脈を踏まえた論点設定と意思決定の伴走」にあり、パッケージ化された解決策を提供するスタイルは見直しを迫られていると指摘します。経営コンサルティング市場は規模としては依然拡大余地があるとされる一方で、今後は制度依存や作業代行型から脱せない事業者の退出が進み、業界全体としては「選別の局面」が強まることになりそうです。






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