
日本政府がフィリピンの石油備蓄強化を全面支援する体制が動き出しました。マルコス大統領は5月28日に東京で高市早苗首相と会談し、日本のエネルギー支援枠組みを活用して備蓄体制を強化していくことで一致しました。
両国首脳の合意を受け、日本経済産業省とフィリピンのエネルギー省は首脳会談後に共同声明を発表。日本政府によるアジア各国へのエネルギー支援枠組み「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(パワー・アジア)」の一環として、フィリピン国内の戦略的国家備蓄の整備と、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内での共同備蓄に向けた協力を明記しました。
6月にも経産省が中心となり、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)やエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)などの公的機関に加え、商社やエンジニアリング企業も参加するチームがフィリピンを訪問します。備蓄に必要なインフラ整備と制度設計を具体化する計画です。
背景には、中東情勢の緊迫化があります。原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、フィリピンのエネルギー安全保障は重大な脅威にさらされています。フィリピンは原油輸入の9割超を中東に依存しており、原油価格の急騰や供給中断リスクに対して脆弱な構造が続いてきました。
今回の支援は短期的な燃料調達にとどまらず、備蓄制度・インフラ整備・人材育成まで射程に入れた長期的な取り組みです。高市首相は「パワー・アジア」のもと、調達融資から備蓄タンク建設、エネルギー源の多様化まで総額約100億ドル規模の金融協力を表明しました。フィリピンは重点的な協力対象国の一つに位置付けられています。
「国家エネルギー非常事態」脆弱性の克服が焦点に
フィリピンではホルムズ海峡の封鎖を受けた燃料不足が懸念されるなか、マルコス大統領は3月24日に「国家エネルギー非常事態」を宣言しました。大統領令に基づき、政府は燃料・石油製品の調達における前払いを可能にするなど、供給確保を最優先とする異例の措置を打ち出しています。
フィリピンのエネルギー省によると、直近の国内ガソリン・ディーゼル備蓄量は約45日分にとどまり、中長期的な供給見通しへの危機感は深刻です。政府は200億ペソ(約3億3300万ドル)の緊急基金を発動し、国営石油会社への調達権限付与など燃料の安定供給を下支えしています。
日本の官民チームが現地調査に入り、インフラ整備・制度設計を具体化したうえで、ASEAN域内の共同備蓄構想を含む地域全体のエネルギー安全保障にどこまで貢献できるかが注目されています。












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