
ゴールドマン・サックスが、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利下げ予想を撤回し、次の利下げ開始時期を2027年以降へと後ろ倒ししました。背景にあるのは、5月の雇用統計です。非農業部門雇用者数が市場予想の8.8万人増を大きく上回る17.2万人増となるなど、労働市場の底堅さが改めて裏付けられました。
ゴールドマンのリポートでは、従来予想していた2026年12月と2027年3月の利下げを、それぞれ2027年6月と12月に先送りするシナリオが示されました。労働市場が底堅くインフレの鈍化も緩やかなため、金融緩和の必要性は低いとの見方です。
一方、市場では強い雇用指標を受け、利上げ再開を見込む思惑も浮上しており、2026年末までの利上げの可能性を一部の投資家が織り込み始めています。ゴールドマン自身は大幅な追加利上げを想定していないものの、米金融当局のタカ派的な姿勢や経済指標の底堅さを踏まえ、単発の小幅利上げの可能性も排除していません。
5月の雇用統計では非農業部門雇用者数の増加に加え、失業率が4.3%と横ばいで推移しており、FRBが掲げる「雇用最大化」と「物価安定」のうち雇用面ではなお過熱感が残るとの見方もあります。平均時給も堅調な伸びを維持しており、インフレの再燃懸念を完全には払拭できない状況です。
JPモルガンがFRBの次の政策変更は2027年の利上げになるとするシナリオを提示するなど、米金融大手各社も相次いで予想を見直しており、金融引き締め長期化への懸念が高まっています。
長期高金利とAI投資がもたらす新たなシナリオ
ゴールドマンは、政策金利を現行水準でより長期間据え置く「高金利維持」も十分あり得るシナリオと位置づけました。根拠の一つに挙げたのは、AI関連を中心とした旺盛な投資需要が米景気を下支えしている点です。
長期金利の指標である10年物国債利回りは雇用統計後に約6ベーシスポイント上昇して4.54%となり、歴史的にみてもなお高めの水準が続いています。早期利下げ観測をさらに後退させる要因として、市場でも広く意識されるところです。
日本を含む世界の債券・株式・為替市場への波及も懸念材料です。長期にわたるドル金利の高止まりは円安圧力の持続や新興国からの資本流出懸念といった形で国際金融環境を左右し、企業や家計の資金調達コストや資産価格にも影響が及ぶとみられます。長期高金利という新たな前提への備えが、市場参加者に求められる局面に入っています。












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