
アメリカ軍の攻撃ヘリコプター「AH−64アパッチ」がホルムズ海峡付近で墜落した事案を受け、米軍はイラン領内の防空網などを標的とした限定的な軍事行動に踏み切り、中東の緊張が一段と高まっています。アメリカ中央軍は、8日(米東部時間)夜にホルムズ海峡周辺を哨戒飛行していたアパッチ1機が攻撃を受けて墜落し、乗員2人が救助されたと明らかにしています。トランプ米大統領は9日、自身のSNSで「イランによってヘリコプターが撃墜されたとの報告を受けた」と述べ、報復措置を示唆しました。
アメリカ中央軍は9日午後5時(米東部時間)からイランに対する攻撃を開始し、同日中に作戦は終了したと説明しています。攻撃は、イランが実効支配を強めているとされるホルムズ海峡周辺で、防空システムや監視レーダーなどを中心に行われたとされています。一方、イラン側は、アメリカ軍ヘリの墜落について、自国の無人機と衝突した結果だとする見方が伝えられており、意図的な攻撃だったかどうかについてはなお明確になっていません。
米メディア「アクシオス」の報道を引用した日本メディアによりますと、墜落したアパッチはホルムズ海峡付近のオマーン沖を飛行中にイランのドローンと衝突した可能性が高いとされ、海上に脱出したパイロット2人は、米軍が運用する無人水上艇によって約2時間後に救助されたということです。トランプ大統領は、パイロット2人にけがはなかったとして「命に別状はない」と強調しつつ、「この攻撃に対処せざるを得ない」と述べ、イランへの強い姿勢を示しています。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、今回の一連の軍事行動は、エネルギー市場や国際海上交通への影響も懸念されています。4月には同海域でアメリカ軍の高高度無人偵察機が消息を絶った後、墜落が確認されたばかりで、安全保障上のリスクが高まっているとの指摘も出ています。アメリカとイランとの間で軍事的緊張が再びエスカレートする中、各国は事態の行方を注視しています。
バーレーン・ヨルダンの米軍基地に報復攻撃 レバノン南部でも民間人被害拡大の懸念
イラン側は、アメリカによる防空網への攻撃に対する報復として、中東各地に展開する米軍拠点へのミサイル攻撃を行ったと主張しています。日本メディアの報道によれば、イラン革命防衛隊は、バーレーンやヨルダンにある米軍基地を標的に弾道ミサイルや無人機を発射したと宣言しましたが、現時点で人的被害は確認されていないとされています。イランの外相はこれに先立ち、自国周辺に駐留する「外国軍」は誤射や偶発的な衝突に常にさらされていると警告し、緊張緩和のためには「外国軍の撤退こそが解決策だ」と強調していました。
こうした中、イスラエル軍は、トランプ政権の要請を受けてイラン本土への攻撃を一時停止する一方で、レバノン南部での空爆作戦を継続しています。ロイター通信の報道を基にした日本語記事によると、レバノン南部の都市ティール(スール)で9日に行われた空爆では、少なくとも8人が死亡したとレバノン保健省が明らかにしています。イスラエル軍は、標的はイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点や戦闘員だと主張していますが、これまで攻撃対象となってこなかった地域や、避難勧告が出ていない地区にも被害が及んでいるとの指摘が出ています。
イランは、イスラエルによるヒズボラ拠点への攻撃が続く場合、「はるかに厳しく壊滅的な措置」で対抗すると警告しており、中東全域での報復の連鎖が現実味を帯びつつあります。ホルムズ海峡をめぐる米イラン間の衝突と、レバノン南部を舞台にしたイスラエルとヒズボラの対立が複雑に絡み合うことで、偶発的な拡大戦争のリスクが高まっているとの見方も広がっています。各国政府や国際機関は、自制と対話を求める一方で、現場では軍事的な緊張が続いているのが実情です。

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