世界中から62作品が集結! ヘラルボニーの展覧会で見た「異彩」の広がり

株式会社ヘラルボニーが主催する国際アワード「HERALBONY Art Prize 2026 Exhibition Presented by 東京建物|Brillia」

株式会社ヘラルボニーが主催する国際アワード「HERALBONY Art Prize 2026 Exhibition Presented by 東京建物|Brillia」。2026年度の応募作品数は2,943点、参加作家は1,342名と過去最大規模を記録しました。最終的にはどのような作品が選出されたのでしょうか。そのアートクルーズに参加しました。

<目次>

グランプリはオランダ在住の作家が色鉛筆で描いた《Zonder titel(無題)》

アール・ブリュット(Art Brut)とは、芸術的な教養・訓練を受けていない人が、自身の内側から湧き上がる衝動のままに表現した芸術のことです。
ヘラルボニーは、障害のある作家が描くアートをIPライセンスとして管理し、正当なロイヤリティを支払うことで、アートを軸に新たな文化の創出を目指すクリエイティブカンパニーです。

アートクルーズ冒頭では代表取締役Co―CEO松田崇弥氏・松田文登氏が登壇し、これまでの受賞作家たちのキャリア開拓が行われていることに触れ、企業との積極的な共創を推進していることを述べました。また2026年4月2日の世界自閉症啓発デーの取り組みも紹介。2025年度のグランプリ受賞作家、エヴリン・ポスティック氏は、ヴェルサイユ宮殿での共創アートプロジェクトに参画したそうです。

クレジット:鈴木穣蔵
クレジット:鈴木穣蔵

2026年グランプリ受賞作品は、オランダ在住、カー・ハン・ムイによる《Zonder titel(無題)》です。色鉛筆を用いて描かれた作品は、エメラルドグリーンや淡いグリーンが丁寧に細部に至るまで塗られています。その緻密さと堆積するグリーンが醸し出す美しさに思わず息を呑みました。

日々を過ごしている施設で「寡黙ながらひたむきに制作に向き合ってきた」ことにより生み出された作品となっています。ヘラルボニー最高芸術責任者黒澤浩美氏により、作家は「冒険心と、新奇への強い好奇心を兼ね備えているのではないか」と推察され、同行していたスタッフも同意していました。

審査員

同じく審査員黒澤氏による審査員特別賞、《イエローで白い黒の進化》(カミジョウミカ)の紹介もありました。

ヘラルボニー最高芸術責任者黒澤浩美氏

長野県を拠点に活動を続けるカミジョウミカ氏は、「土偶がマイブーム」とのこと。身の回りにある農業用品などを素材として使用し、独自の心象風景と見事に融合させていました。色鮮やかな色彩が人目を引く作品でした。

ZINE制作体験のワークショップも

アワード内のプログラムのひとつとして、オリジナルZINEを制作するワークショップも開催されました。ZINE制作と聞いて少々気負っていましたが、ヘラルボニー社員の方々の「自由に、気軽に制作して欲しい」といった声かけのもと、思いついたことを書き込むことによってオリジナルZINEが完成しました。他の報道関係者が制作されたZINEも見せてもらうことにより、違った観点やアイデアに触れることもでき、新鮮な感動がありました。

ZINE制作体験のワークショップ

スーパーでお惣菜を買うように気軽に制作して欲しい

審査員であり、ヘラルボニー最高芸術責任者/CAOである黒澤浩美氏に対してインタビューも行いました。

筆者が「障害のある/なしに関わらず、展覧会を見て『自分もなにかつくってみよう』と思う人も多いと思います。そういった方々にメッセージをお願いします」と質問すると、「『スーパーでお惣菜を買うように』、気軽に制作して欲しい」と思いがけない言葉が返ってきました。

「『つくりたい』という衝動のままに、本当に気軽に制作して欲しいんです。グランプリ受賞作家のカー・ハン・ムイさんにしても、『つくらなければならない』、『しなければならない』といった義務感はおそらく全くないと思います。ただつくりたいという衝動から、日常に溶け込む形で気軽に、ひたむきに制作を続けているんですよね」

「太古の昔は大型画材店もなければ、パソコンもなかった、それでも人はつくっていたんですよね」としみじみ語る黒澤氏の姿が印象的でした。

展覧会「HERALBONY Art Prize 2026 Exhibition Presented by 東京建物|Brillia」は2026年5月30日(土)から6月27日(土)まで開催されます。三井住友銀行東館1階アース・ガーデン(東京都千代田区丸の内1-3-2)、東京メトロ大手町駅C14出口すぐ。

延岡佑里子パラレルワーカー

投稿者プロフィール

会社員、行政書士、ライターのパラレルワーカー。ASD当事者。働くことが大好きです。
趣味は歴史、ボカロ、英語学習です。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 札幌地方裁判所の入口
    北海道江別市の公園で2024年10月、男子大学生が集団暴行を受けて死亡し現金などが奪われた事件の裁判…
  2. 人型ロボット「サリー」始動、全米初の試みに教育現場が揺れる
    人型ロボット「サリー」が、この秋からアメリカ・ニューヨーク州サラマンカ市中央学区の教室に導入。全米の…
  3. スペースXの新型ロケット「スターシップ」、13回目の試験飛行で衛星20基を宇宙空間へ放出
    米宇宙開発企業スペースXは24日、大型ロケット・スターシップの13回目となる飛行試験をスターベースか…

おすすめ記事

  1. 熊本刑務所の銘板

    2026-8-10

    刑罰から自立支援へ。無期懲役の受刑者が3割を占める熊本刑務所が見据える未来

    受刑者の約3分の1が無期懲役受刑者。出所というゴールが見えない「終わりのない更生」について、熊本刑務…
  2. 名古屋矯正管区および名古屋刑務所主催「第33回東海北陸・みよし矯正展」(2023年)の入り口

    2023-12-7

    刑務所のリアルに迫る「東海北陸・みよし矯正展」とは?地方発・社会復帰を支える刑務所イベントを紹介

    東海北陸・みよし矯正展とは年に一度、名古屋矯正管区および名古屋刑務所主催により開催される刑務所イベン…
  3. 宮崎刑務所の刑務官

    2025-10-22

    受刑者はどんな生活を送っている?宮崎刑務所の刑務官に聞く刑務作業の実態

    「刑務所の中での受刑者たちはどう過ごしている?」社会復帰の拠点の1つとも言える「工場」での刑務作業は…

2026年度矯正展まとめ

2026年度 矯正展まとめ

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る