
米AI新興企業アンソロピックは6月9日、同社の最先端モデル「クロード・ミュトス」と同等の性能を持つ新モデル「クロード・フェイブル5」を一般向けに提供開始しました。ミュトスは今年4月の初公開以来、サイバー攻撃などへの悪用リスクの高さから、ごく限られた企業・組織にのみ提供されてきた経緯があります。
フェイブル5は、ミュトス級の性能を広く使えるようにしながらも、サイバーセキュリティの悪用、生物・化学兵器の開発、モデルの模倣・複製(蒸留)の3分野に関わる質問には自動的にクロード・オーパス4.8へと切り替えて回答する仕組みを採用。完全な拒否ではなく別モデルでの応答を維持することで、利便性を保ちつつ、リスクを抑える仕組みとなっています。
安全策の有効性については、内部テストに加えて外部バグバウンティプログラムも実施しました。1,000時間超にわたる検証でも万能なジェイルブレイク(安全装置の突破)は発見されなかったと説明。一方、性能面では、ソフトウエア開発のコード生成や長時間の複雑タスクの処理、科学的研究など幅広い領域で既存の一般向けモデルを大きく上回るとされています。
料金は従量課金を基本とし、入力100万トークンあたり10ドル・出力50ドルで、オーパスモデルの2倍の設定です。なお4月のミュトス・プレビュー価格の半額以下であり、大幅な引き下げとなりました。既存の有料ユーザーも6月22日まで追加費用なしで利用でき、その後は段階的な移行が予定されています。
「ミュトス5」は限定提供にとどめ、サイバー防御枠組みと連動
アンソロピックは同日、ミュトスの次世代版となる「ミュトス5」についても、一部の企業や研究機関に限定して提供を始めると発表しました。フェイブル5と同じ基盤技術を持ちながら、安全分類器の設計が異なり、サイバー防御や重要インフラ保護など限定された目的での利用を想定しています。
ミュトス5へのアクセスは、サイバー防御を目的とする企業・機関向けのプロジェクト・グラスウィングと連動した形で段階的に拡大中です。6月2日時点の発表では、初期参加の約50組織に加えて新たに約150組織が加わり、計約200組織・15カ国以上がミュトス級モデルの利用対象となっています。電力・水道・医療・通信・ハードウエアなど、重要インフラを担う組織への広がりが特徴です。
日本も参加国に含まれるとされており、政府や金融機関、IT企業の間でミュトスの活用可能性とリスク管理を巡る議論が続いています。フェイブル5の一般公開とミュトス5の限定提供という二段構えについて、アンソロピックは、ミュトス級の能力を安全に広く提供することが目標だと説明しており、各国のAI規制論議への影響も注目されます。












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