
三菱HCキャピタルは6月9日、カナダの大手資産運用会社ブルックフィールドとの合弁会社設立を発表しました。欧州を起点に再生可能エネルギー発電所の取得・運営を行う計画。第1弾として、英国・スペイン・スウェーデン・フィンランド・フランス・アイルランドの6カ国にわたる太陽光・風力発電所の既存ポートフォリオ(計約570メガワット)を約4億ユーロ(約580億円)で取得予定です。
合弁会社の運営はブルックフィールドが担い、今後は欧州およびオーストラリアで追加買収を進める方針です。AI開発向けデータセンターなどで世界的に電力需要が急増するなか、日本の大手機関投資家が再エネを軸にしたインフラ投資を強化する動きとして注目されます。
取得資産はいずれも長期の電力購入契約(PPA)付きの稼働済み物件で、加重平均残存期間は約10年。安定したキャッシュフローが見込まれます。合弁会社は必要な規制当局の承認を経て、2026年下半期中の正式発足を予定しています。
三菱HCキャピタルは、三菱商事や三菱UFJフィナンシャル・グループが出資する総合リース大手です。同社は、デンマークの再エネ企業への出資など欧州での事業基盤を積み上げてきました。
一方、ブルックフィールドは世界有数のオルタナティブ資産運用会社で、発電所や港湾などインフラ投資に強みを持ちます。再エネ分野では、マイクロソフトと2024年に締結した協定に基づき、2026〜2030年に米欧で10.5ギガワット超の風力・太陽光発電容量を開発する計画です。
AI時代の電力とエネルギー安全保障
AI向けデータセンターは、サーバーの高密度集積や24時間稼働により、単一施設でも大規模な電力を消費します。クリーン電源の供給が電力需要の伸びに追いつかなければ、化石燃料による発電の増加が避けられないとの指摘も出ており、長期契約に基づく再エネ電源の確保や送配電インフラへの投資が課題です。
日本でも、エネルギー基本計画の見直しが議論されており、AIやデータセンターの普及に伴う将来の電力需要見通しが論点となっています。国内にデータセンター投資を呼び込むためにも、安定した脱炭素電源の確保が競争条件になりつつあります。
欧州では、ロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー危機を契機に、域内再エネ拡大が安全保障政策の柱に位置づけられました。ブルックフィールドのようなインフラ投資家がその一翼を担っています。
今回の合弁は、日本勢が再エネインフラ投資を通じてAI時代の電力供給網に関与していく動きの一例です。今後は、取得した発電所の運営や電力販売のスキーム、オーストラリアへの展開ペースなどが注目されます。








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