
アメリカ中央軍はニューヨーク時間の6月10日午後5時15分(日本時間6月11日午前6時15分)、イラン国内の複数の標的に対して2日連続となる自衛目的の攻撃を実施したと発表しました。この攻撃は、9日に発生したアメリカ軍の攻撃ヘリコプター「アパッチ」撃墜への報復作戦に続くものです。トランプ大統領は、イラン側が暫定的な和平合意に向けた協議を意図的に遅らせていると強く非難しており、停戦交渉の停滞に対するいら立ちが背景にあります。
トランプ大統領はメディアのインタビューに対し、イラン国内の標的攻撃に49発の長距離巡航ミサイル「トマホーク」を使用したと明らかにしました。標的にはイラン南部の防空システム、レーダー、無人機(ドローン)の指揮統制部隊などの軍事インフラが含まれています。これに対しイラン外務省は、アメリカが民間インフラを攻撃したと非難しました。イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」はアメリカ軍の戦闘機へ防空ミサイルを発射し、さらにバーレーンにあるアメリカ海軍第5艦隊司令部を無人機で報復攻撃しました。
事態の悪化を受け、イラン軍中央司令部は11日、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を完全に封鎖すると宣言しました。実際に革命防衛隊海軍は同海峡の通航を試みた船舶2隻を攻撃したと主張しています。しかし、アメリカ中央軍は「今夜も商船は出入りしている」として封鎖を否定し、トランプ大統領もアメリカの支援で1億バレル超の原油が供給されたと強調しています。一連の攻撃を受けて市場では原油価格が急伸し、WTI原油先物は一時2.6%高の1バレル=92.39ドルを記録しました。
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は自身のSNSで、アメリカの脅しは「切羽詰まっていることの表れだ」と指摘し、いかなる圧力にも屈しない姿勢を強調しています。今回の敵対行為はここ数週間で最も激しい衝突となり、4月の停戦合意が機能不全に陥ったことを示しています。
欧州連合の追加制裁とカタール代表団による調停の行方
中東地域の緊張が極限に達し、世界経済への影響が懸念される中、国際社会も対応に追われています。欧州連合(EU)は8日、イランが事実上ホルムズ海峡を封鎖し、同海峡の航行の自由を脅かしているとして、革命防衛隊の海軍部隊である「ホルモズガーン州司令部」と個人2人に対する追加制裁に合意しました。EUの調査によれば、同司令部が船の積み荷や目的地などの情報を審査し、独自の通航料金制度を実質的に運営していたとされています。
一方、事態の打開に向けた外交的なプロセスも水面下で継続されています。イランとアメリカの断続的な間接協議の頓挫が危惧される中、仲介国の一つであるカタールの交渉代表団が10日、イランの首都テヘランに到着しました。代表団はアメリカとの協議を経た上で、戦闘終結の合意に向けた最終調整を図る狙いがあります。
しかし、トランプ大統領がイラン指導部が合意文書に署名しなければ「明日も徹底的に攻撃する」と警告する一方で、イラン外務省はアメリカの行動を停戦違反と呼び、「交渉の進展を妨害している」と非難しています。ホワイトハウス当局者も合意に達するまで最大限の圧力を維持する方針を示しており、両国の対立の溝は深く、停戦に向けた歩み寄りの先行きは極めて不透明な状況が続いています。












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