
米スペースXが6月12日、ナスダック市場に新規上場しました。初日の終値は160ドル95セントと、135ドルの公開価格を19%上回りました。時価総額は2兆1000億ドル(約336兆円)に達し、世界企業で6位に浮上しました。これは台湾積体電路製造(TSMC)を抜き、アマゾン・ドット・コムに次ぐ規模であり、「マグニフィセントセブン」と呼ばれる米巨大テック企業群の一角に食い込んだ形となります。
資金調達額は750億ドル(約12兆円)にのぼり、2019年に上場したサウジアラムコの約290億ドルという記録を大幅に塗り替え、世界における新規株式公開(IPO)で過去最大の上場規模となりました。初値は午前11時50分前に150ドルを付け、買い注文の殺到により午後1時過ぎには一時176ドル52セントまで上昇するなど、投資家からの圧倒的な需要を集めています。ニューヨークのタイムズスクエアにあるナスダック拠点前には数百人が集まり、歴史的な瞬間に大きな熱気が包まれました。
スペースXは2002年に創業され、再利用可能なロケットの実用化によって打ち上げコストを劇的に削減しました。近年は低軌道衛星通信サービス「スターリンク」を収益の柱に据え、ロケット打ち上げから人工知能(AI)開発までを網羅する複合企業へと成長を遂げています。最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、この上場に伴い個人資産が1兆ドル(約160兆円)を超え、世界初の「兆万長者」となりました。同氏は本社で「サイエンスフィクション(SF)からフィクションを取り除くことがスペースXの目的だ」と演説し、人類の火星移住などの壮大な構想を語っています。
また、ナスダックは大型IPO銘柄を早期に指数へ組み入れるルールを整えており、新NISAで人気の「オルカン」が連動するMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)にも早期採用される可能性があります。採用されれば、日本国内の多くの個人投資家が同社株を間接的に保有することになります。
期待先行の市場評価と今後の課題
米証券会社オッペンハイマーはいち早く同社の調査を開始し、目標株価を190ドルと強気の評価を与えました。「スターリンク」を当面の確実な収益源としつつ、将来はAI事業が成長を牽引すると予測しています。
一方で、現在の高い市場評価には期待先行の色彩が濃いことも事実です。次世代ロケット「スターシップ」はなお開発途上にあり、AI事業の本格的な収益貢献もこれからとなります。25年12月期通期の売上高は186億ドルであったのに対し、最終損益は49億ドルの赤字を計上しています。また、12日終値ベースの株価売上高倍率(PSR)は110倍台と、異例の高水準に達しています。
さらに、ガバナンス(企業統治)面への批判も根強く残っています。同社は複数種類の株式を利用する議決権構造を採用しており、上場後もマスク氏が非常に強い支配力を維持し続けます。同氏への信認による「マスク・プレミアム」がこの先どこまで株価を下支えしていくのか、今後の動向には不透明感も漂っています。
スペースXの上場までの経緯については、下記もお読みください。
https://tokyonewsmedia.com/archives/tag/spacex












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