
カンボジア政府は、国内各地で先月実施した一斉摘発で、特殊詐欺に関与した疑いのある拠点を相次いで摘発し、日本人72人を含む5400人以上の関係者を拘束したと明らかにしました。 カンボジア内務省は、わずか1カ月の間に特殊詐欺拠点95カ所を摘発し、中国人やベトナム人、インドネシア人など多国籍の容疑者5407人を拘束したと説明しています。 こうした大規模摘発は、東南アジアを拠点に各国の被害者を狙う特殊詐欺ビジネスが、国境を越えた犯罪として拡大している実態を浮き彫りにしています。
拘束された日本人72人のうち、少なくとも5人については日本への送還手続きが進められており、近く身柄が引き渡される見通しです。 残る67人については、カンボジア各地の警察署で取り調べが続いているとされ、関与の度合いや役割分担などの解明が焦点となっています。 カンボジアではこれまでも、南東部バベットや北西部ポイペトなどで日本人が関与した特殊詐欺拠点が相次いで摘発され、十数人規模から数十人規模の拘束事例が繰り返されてきました。 今回は1カ月で5400人超という、過去の事案を大きく上回る規模での一斉摘発であり、同国当局が国際犯罪対策を一段と強化していることがうかがえます。
背景には、カンボジアが通信インフラの整備や物価の低さを理由に、詐欺グループの拠点として狙われてきた構図があります。 警察庁や各地の警察本部は、現地当局との情報共有を強化し、犯罪拠点の特定や摘発要請を通じて、日本人メンバーの身柄確保と被害実態の解明を進めてきました。 日本国内では、こうした海外拠点から日本の高齢者らを狙う特殊詐欺の被害が深刻化しており、警察当局は、検挙だけでなく被害防止の啓発や資金の流れの追跡など、多角的な対策を迫られています。
タイで幹部とみられる日本人も拘束 国際連携で実態解明へ
カンボジアを拠点とする特殊詐欺グループをめぐっては、近隣国タイでも動きが相次いでいます。 タイ警察は今月上旬、カンボジア北西部ポイペトの詐欺拠点を遠隔で指揮していた疑いがある日本人の男を、首都バンコクで拘束したと発表しました。 男は高級マンションに滞在しながら、電話やインターネットを通じて日本人グループに指示を出していたとみられ、被害総額は数十億円規模に上るとの見方も示されています。
この日本人の男について、日本側では詐欺などの疑いで逮捕状が出ており、タイ当局は近く日本へ強制送還する方針です。 カンボジアでは今年1月にも、南東部バベットで特殊詐欺への関与が疑われる日本人13人が拘束され、日本の警察官が現地入りして送還に同行するなど、合同捜査態勢が強化されてきました。 2025年には、ポイペトの拠点摘発をきっかけに日本人約30人が拘束される事案も発生しており、愛知県警が犯罪拠点を特定した上で現地当局に捜索を要請していたことが明らかになっています。
こうした連続摘発を通じ、日本の捜査当局は、東南アジア各地に拠点を張り巡らせる特殊詐欺ネットワークの全体像や資金の流れ、人身売買との関係性などの実態解明を急いでいます。 現地で集められた押収端末やマニュアルの解析が進めば、日本国内での受け子や送金役との結び付きも明らかになる可能性があり、捜査当局は国境を越えた協力体制を前提に、組織壊滅に向けた取り組みを進める構えです。







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