
生命保険業界で長年親しまれてきた「生保レディー」という呼称が、新名称「生保ナビゲーター ソナエルジュ」に変わります。生命保険協会は6月12日、職場や家庭を訪問して保険商品や金融商品を提案する営業職員について、公募により選ばれたこの新しい愛称を公式に採用すると発表しました。
女性比率の高い職種であることから定着してきた「生保レディー」という呼び方は、性別を固定的にイメージさせるとの指摘もあり、業界として多様な人材が活躍できる環境づくりを進める中で見直しが求められていました。
「ソナエルジュ」は「備える」を意味する言葉と、案内役を示す「コンシェルジュ」を組み合わせた造語です。協会が広く一般から名称案を募集したところ、9191件の応募が寄せられ、親しみやすさと職務内容のイメージが両立した案として採用されました。
協会は、無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)解消を掲げる取り組みの一環として、ジェンダーを固定するような呼び方を避けることが重要だと説明しており、男性や多様なバックグラウンドを持つ人材の採用・定着にもつなげたい考えです。一方で、営業職員の法的な位置づけは保険業法上の「生命保険募集人」のままで、新たな愛称は業界内での通称として位置づけられます。
新名称の発表は本来2月ごろの予定でしたが、生命保険業界の営業社員による不祥事や顧客とのトラブルを受けて時期を見直した経緯があります。2026年1月には、プルデンシャル生命保険で社員・元社員100人超による約31億円の金銭詐取が明らかになりました。名称変更だけでなく、信頼回復やガバナンス強化も業界全体の喫緊の課題です。
また、名前を変えるだけで偏見や職場環境の課題が解消されるわけではないとの指摘もあり、「生保レディー」という呼称の歴史の中で積み重なってきた女性の働き方や待遇、営業慣行をめぐる課題への対応が引き続き問われています。
「名前の変更」その先の課題
新呼称「生保ナビゲーター ソナエルジュ」は、保険だけでなく投資信託などの金融商品も扱う現場の実態を反映したものです。生命保険協会は新名称を業界全体で共有し、研修や広報物などを通じて普及させていく方針を示しました。
ただし、名称変更はあくまで入り口であり、営業現場の実態や労働環境をどう改善していくかが問われています。近年、生命保険営業の世界では長時間労働やノルマ、家庭訪問型営業に伴う負担などが指摘されてきたほか、顧客への不適切な勧誘や金銭詐取が表面化した事例もあります。
こうした問題は個々の社員の資質だけでなく、業績重視の評価制度や販売手法に起因するとの見方も根強い状況です。呼称に込められた理念を現場の制度や運用に落とし込めるかどうか、今後の対応が注目されるでしょう。












-300x169.jpg)