
日本の家計による資産運用が、この10年で大きく様変わりしているようです。 日銀の資金循環統計によると、2025年末時点で家計が保有する株式と投資信託の残高は合計500兆円超と、2015年末の258兆円からほぼ倍増しました。 内訳は株式等が約342兆円、投資信託が約165兆円で、いずれも過去最高水準となっています。 株高に加え、政府が掲げる「貯蓄から投資へ」の方針のもとで制度整備が進み、個人マネーが市場に流入している構図です。
背景には、2024年に抜本的に拡充された新しい少額投資非課税制度(新NISA)の存在があります。 新NISAは非課税投資枠の大幅拡大や恒久化などで利便性が高まり、2024年の年間買付額は約18兆円と前年の約3倍に膨らんだとされ、家計の投資意欲を押し上げました。 制度開始以降、NISA口座数は2,500万口座超に増加し、利用者層も若年層や投資初心者まで広がりつつあります。 日本経済新聞などは、新NISAが家計の金融資産に占める株式・投信比率を押し上げる要因になっていると指摘しています。
商品面では、低コストのインデックス型投資信託が普及し、「長期・積立・分散」を掲げる運用スタイルが定着しつつあります。 三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim」シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」と打ち出し、信託報酬を年率0.05775~0.22%程度に抑えた商品ラインナップを展開しています。 こうした低コスト投信の拡大により、家計が投資信託を通じて世界の株式市場に分散投資しやすい環境が整ってきました。 一方で、日銀統計では依然として現金・預金が家計金融資産の半分近くを占めており、「貯蓄から投資へ」の流れがさらに進む余地も残されています。
新NISA2年目、広がる「投資の成功体験」と課題
新NISAが2年目を迎えた2025年以降、株価の上昇局面も相まって、個人投資家の間では「投資の成功体験」が広がりつつあるとされています。 日経平均株価の高値更新局面では、新NISAを活用して投資信託の積立や高配当株への投資を行うケースが目立ち、家計の資産形成手段として投資が一段と身近になってきました。 調査では、新NISAの投資枠を「つみたて投資枠」と「成長投資枠」で併用し、年間360万円までの非課税投資を活用する個人も少なくないとされています。
その一方で、相場環境に左右されやすい株式・投信への依存度が高まることへの懸念も根強くあります。 金利水準や物価動向が不透明ななか、リスク許容度を超える投資や、一部の人気銘柄・投信に資金が集中する「偏った投資行動」を警戒する声も専門家から上がっています。 家計の株式・投信残高が過去最高を更新する今こそ、分散投資や長期目線の運用とともに、リスク管理や金融リテラシーの向上が一層求められていると言えます。










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