
政府は12日の閣議で、首都直下地震の「緊急対策推進基本計画」を2015年以来約10年ぶりに改定しました。最大約1万8000人の死者と全壊・焼失約40万棟の建物被害を今後10年間でいずれも「半数以下」に抑える減災目標を掲げ、前回の「おおむね半減」から一歩踏み込んだ形です。
これらの数値は、2025年12月19日に公表された最新の被害想定に基づいています。東京都心南部を震源とするマグニチュード7クラスの地震が発生した場合、死者は最大約1万8000人、全壊・焼失する建物は約40万棟、経済損失は約83兆円に達するとされています。
今回の見直しでは、具体的な目標項目が従来の47から189へと大幅に増加。火災対策や在宅避難、企業の事業継続計画(BCP)など、暮らしと経済活動に直結する分野まで対象が広がりました。首都直下地震緊急対策区域に含まれる1都9県・309市区町村の各自治体が、新計画に沿って地域ごとの対策を進めます。
死者の6割以上を占めると予測される火災被害を抑えるため、今回の計画の柱に据えたのが「感震ブレーカー」の普及です。強い揺れを感知すると自動的に電気を遮断し、出火リスクを下げる装置で、現在の設置率は緊急対策区域内で約2割にとどまっています。
政府は2035年度までに「おおむね設置」と言える水準への引き上げを目標に掲げました。内閣府の試算では、感震ブレーカーを対象地域で100%設置できれば、火災による焼失棟数と死者数をそれぞれ約7割減らせる可能性があるとされています。価格や認知度の低さという普及のボトルネックをいかに解消するかが、実現に向けた最大の課題です。
在宅避難の推進とBCP策定、「防災の日常化」カギに
新計画のもう一つの柱が、避難所への集中を避ける「在宅避難」の推進です。大規模地震の発生時には避難所に多くの住民が殺到し、物資不足や過密状態が懸念されます。
政府は、自宅で生活を継続するための環境づくりを新たな目標として明記。災害用の食料・飲料水をそれぞれ「3日分以上備蓄している家庭」の割合を100%に引き上げる目標を掲げました(現状は食料60%、飲料水70%)。マンションについては、年1回以上の防災訓練を実施している管理組合等の割合を100%とする目標も設定されています。
企業に対しては、大企業のBCP策定率を現在の約75%から100%、中堅企業でも8割まで高める数値目標を明示。さらに、災害時にSNSで広がるデマ対策も盛り込まれました。政府・自治体が公式情報をタイムリーに発信し、混乱拡大を防ぐ仕組みを事前に整備する方針です。
「防災を日常に」という発想のもと、家庭の備蓄・地域の訓練・企業のBCPを平時から積み上げて災害リスクを減らしていく姿勢が前面に出た計画改定となっています。












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