
2026年5月23日・24日に、静岡県静岡市で『第1回しずおか映画祭』が開催されました。主宰者は静岡県沼津市出身の俳優・磯村勇斗さん。映画祭の1日目は、静岡市清水区にある清水文化会館マリナートを舞台に、作品上映とトークショーが同時開催されました。
トークショーには、磯村さんと司会の伊藤さとりさん、さらに各作品に出演するゲストも登壇し、会場は大いに盛り上がりを見せました。
しずおか映画祭は、既に2024年11月に沼津市でプレ開催されています。今後は年1回、静岡県東部・中部・西部と県内を巡回するような形で催されるとのこと。今回はしずおか映画祭1日目の様子をお伝えしていきます。
<目次>
カンヌ国際映画祭と同時開催「第1回しずおか映画祭」
静岡市は、世界的映画祭で有名なフランスのカンヌ市と姉妹都市提携を結んでいます。今回のしずおか映画祭は、第79回カンヌ国際映画祭授賞式とまったく同じタイミングで行われました。そうしたこともあり、会場となった清水文化会館マリナートには、カンヌとのつながりを強調する展示物も設けられ、国際色豊かな雰囲気を演出していました。

当日の会場には、約1,500人の来場者が訪れました。清水文化会館マリナートはJR清水駅と自由通路で直結されていますが、開場時刻には駅まで届くほどの行列が発生したほどの盛況ぶりです。
静岡県ではこの1週間前にも、ホビー製品の国際的展示会静岡ホビーショー、ダイハツ主宰の「Keep it OPEN」という大規模イベントが相次いで開催されていました。しずおか映画祭は、そうした話題のイベントに引けを取らない注目度と集客力を誇り、静岡を熱く盛り上げた一大イベントとなったと言えるでしょう。

1日目、開会の挨拶に立った磯村さんは、2024年の地元・沼津市でのプレ開催から1年半を経て、静岡市で第1回を迎えられた喜びを語り、集まった多くの観客へ感謝を伝えました。
続いて登壇した難波喬司静岡市長も祝辞を述べ、今年で35周年を迎えるフランス・カンヌ市との姉妹都市提携を契機に、本映画祭が静岡から世界へ発信できるイベントへと成長することへの期待を寄せました。
役所広司が登壇。世界的に好評を得た『PERFECT DAYS』

1日目第1部では、役所広司さん主演の『PERFECT DAYS』が上映されました。ヴィム・ヴェンダース監督が手掛けたこの作品は、東京・渋谷のトイレ清掃員を主人公に据えた物語です。
本作で、第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した主演の役所広司さんがトークショーに登壇。本作がイタリアでも宮崎駿監督のアニメ映画に迫るほどの大ヒットを記録したことや、カンヌ出品前は配給すら決まっていなかった裏話などを明かし、世界中の映画祭を巡ったこの1年間を「本当に素晴らしいご褒美だった」と振り返りました。
役所さんは海に面した静岡県のロケーションについて「熱海を見る度に、ここでカンヌみたいなことができると思っている」と言及。「静岡の海はヨットではなく漁船だけどね」と冗談交じりに語り会場の笑いを誘いつつも、磯村さんとともに静岡が持つ映画祭としてのポテンシャルの高さで共鳴し合っていました。

さらに話題は「しずおか映画祭」の今後の展望へ。役所さんがカンヌ映画祭の新人監督賞(カメラ・ドール)を引き合いに出し、新人監督や制作者を見出して毎年応援していくような育成の場になってほしいと期待を込めると、磯村さんも深く同意しました。
現在はコンペティションの予定はないものの、子ども向けのワークショップ等を通じて若い世代が映画に触れる機会を創出し、「若い監督と映画祭が出会い、数年後にその作品を上演して時代を作っていく」という未来の構想を熱く語り合いました。

戸田恵梨香が語る恩師・原田眞人監督への追悼

1日目第2部では、原田眞人監督作品・大泉洋さん主演の『駆込み女と駆出し男』が上映されました。2015年公開の作品ですが、昨年12月に逝去した原田監督への追悼という意義も込めて選ばれた一作です。
上映後には、本作に出演した戸田恵梨香さんが登壇。戸田さんは大きな喪失感を抱えながらも、このような形で追悼の機会を得られたことへの深い感謝を口にしました。
「お芝居をしていくうえで自分が原田監督に認められたいとか、褒めてもらいたいとか、そういう子供心を抱いてしまう方で、すごく大切なものを失ってしまったという喪失感が大きくて…。なので今回、こうした形で原田監督を追悼できる機会をいただけたことは本当にありがたく、そして意義深く感じています」

この日が初対面となった戸田さんと磯村さんですが、2人の間には「静岡」という共通の話題がありました。戸田さんが主演を務めるNetflix作品『地獄に墜ちるわよ』での細木数子役のオファーを受けた際の率直な驚きや、細木さんの壮絶な人生への興味を語るなか、磯村さんが同作のロケ地について言及。
作中の戦後の渋谷のシーンが、実は静岡県島田市に作られた大規模なオープンセットで撮影されていたという驚きの事実が明かされ、静岡という地域が持つ映画撮影地としての豊かな可能性が示されました。
しずおか映画祭が目指す未来
しずおか映画祭の1日目の企画は、すべて清水文化会館マリナートで行われました。午前10時の開場から午後7時過ぎまで、第1部と第2部の両方を鑑賞した来場者も多く、会場は終始熱気に包まれていました。
閉会式で磯村さんは、約1,500人の来場者と同じ映画の時間を共有できた喜びをあらわにしました。その表情からは、本映画祭に込めた熱い想いが結実した確かな手応えがうかがえました。
「今日は約1,500人の皆様と同じ映画を観て、その時間を共有してきました。そんな幸せな時間を映画祭で作っていきたいと思っていたので、今日ここで実現することができて嬉しく思っています。人って、映画を観終わった後の顔って、すごく良い顔をするんですよね。壇上からそれを独り占めしているような状態ですが、皆さんの幸せな顔を見ることができて本当に嬉しいです」
映画が持つ力——それは、言葉を超えて人と人をつなぎ、観る者の心に豊かな余韻を残すことではないでしょうか。しずおか映画祭はまだ歴史の浅い映画祭ですが、地元の子供たちへの学びの場の提供や、世界とつながる文化交流の拠点として、静岡から新たな映画の物語を紡ぎ続けていくことでしょう。
















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