
韓国で5月に実施された英語試験TOEICの会場で、人工知能(AI)機能を備えた眼鏡型端末「AIグラス」を使ったカンニングが初めて摘発されました。韓国TOEICを運営するYBM韓国TOEIC委員会によると、不正の試みは5月10日と31日の定期試験でそれぞれ1件ずつ確認され、2人の受験者のスコアは無効になりました。
AIグラスは、フレームに超小型カメラやマイク、スピーカーを内蔵し、映した問題文をクラウド上の生成AIが解析して解答候補を返すとされています。一見すると一般の眼鏡と大きく変わらない外観の製品も多く、監督者が不審な厚みや形状から違和感を覚えない限り、従来の目視チェックでは発見困難な点が課題です。
韓国メディアの報道によれば、今回摘発された受験者が使用していたのは、海外通販などで入手可能な市販品や、韓国国内では未発売の海外メーカー製スマートグラスです。試験前後の持ち物検査と監督官による目視確認で、不審物として発見されたとされています。
韓国で公認語学試験におけるAIグラス不正が確認されたのは、今回が初めてです。しかし、中国ではすでに大学街を中心にAIスマートグラスを使って試験問題をリアルタイム解析し、解答を受け取る新たな不正手口が広がっていると報じられています。
中国当局は全国統一大学入試「高考」で、AIを用いて試験会場の映像を分析し、不自然な視線や動きの検知に取り組んでおり、スマートグラスを含むウェアラブル端末の持ち込み規制も厳格化しています。
日本でも2025年、カメラ付きスマートグラスなどを使ったTOEIC替え玉・組織的不正事件が摘発され、803人分のスコアが無効となる事態が起きました。受験産業のグローバル化と不正ビジネスの結びつきが浮き彫りになっています。
高度化するAI不正と監督体制、韓国修能でも対策急ぐ動き
韓国教育当局は、修能(日本の大学入学共通テストに相当)でも同様の不正が起きかねないとして、電子機器持ち込み禁止規定に「AIグラス」を明示する案や監督官向けの追加研修を検討中です。眼鏡型端末やスマートウォッチなど、外見からは判別しにくい「境界領域」のデバイスをどう扱うかが今後の焦点といえるでしょう。
AIグラスには翻訳や視覚障害者支援など正当な利用シーンも多く、全面禁止が技術利用の幅を狭めるとの指摘もあります。一方、高得点が進学や就職に直結する試験では公平性の確保が優先されるため、AIによる監視や本人認証強化など高度な監督インフラの整備が急務です。
韓国TOEICでの初摘発は、不正の舞台が人生に直結する試験の場へと移りつつある現実を示しており、各国の試験運営機関が技術の進化に追いつけるかが問われています。












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