
立憲民主党の古賀千景参院議員が参院決算委員会で「経済的に厳しい子どもたちが自衛隊に行く。豊かな子どもたちは自衛隊員とかにはならない」などと発言したことを受け、自衛官への侮辱だとして与野党から批判が広がっています。発言は15日の委員会質疑で、防衛省が作成した児童・生徒向け冊子「まるわかり!日本の防衛」を取り上げる中で行われました。
元小学校教諭の古賀氏は、自身が教員として福岡県内の小中学校に勤務してきた経験に触れつつ、「経済的に厳しい子どもたちが自衛隊に行く」と述べ、「豊かな子どもたちは自衛隊員とかにはならない」と一面的な見方とも受け取れる表現を用いました。これに対し、小泉進次郎防衛相が「事実誤認」であり「自衛官や家族に対する一面的な見方だ」と抗議し、古賀氏はその場で発言を訂正、謝罪したうえで撤回しました。しかし、発言内容はインターネット上で拡散し、「自衛隊に行く子どもたちは貧しい」というレッテル貼りだとの反発が相次ぎました。
国民民主党の玉木雄一郎代表は16日の定例会見で、「全国26万の自衛隊員、防衛省職員、その家族に対する侮辱で、あってはならない発言だ」と強く批判し、「誇りを持って任務に当たっている自衛隊員の実態を理解していない」と指摘しました。自民党内からも、陸上自衛隊出身の議員らが「若い隊員と家族の誇りを傷つける」と問題視する声を上げており、古賀氏の発言が安全保障や自衛隊をめぐる政治認識のあり方にまで議論を広げつつあります。立憲民主党は16日、田名部匡代幹事長名で古賀氏を厳重注意としたうえで、「不適切な発言で極めて遺憾だ」とする立場を示し、党として火消しを急いでいます。
党の水岡俊一代表も17日、SNSを通じて「すべての自衛官、ご家族、関係者の皆さまに心から深くおわび申し上げる」と公式に謝罪し、憲法に基づく専守防衛と自衛隊の役割を尊重する姿勢を改めて強調しました。
「レッテル貼り」批判と今後の安全保障論議
古賀氏の発言をめぐっては、自衛隊への志願動機を「経済的困窮」に矮小化しているとの受け止めが広がり、「職業選択の自由や多様なキャリア観を無視したレッテル貼りだ」との批判が浮上しています。元自衛官の議員や関係者からは、「経済事情が一因となるケースはあっても、国家防衛への使命感や専門職としての志望など理由は多様だ」として、発言が若年層の動機を一括りにした点を問題視する声が聞かれます。
一方で、安全保障政策を議論するにあたり、地方の雇用状況や教育格差が自衛隊志願に与える影響をどう捉えるかという論点自体は、引き続き検証が必要だとの指摘もあります。
今回の問題では、政策論としての問いかけと、特定の職業や当事者を傷つける表現の線引きの難しさが改めて浮き彫りになりました。立憲民主党は、古賀氏への厳重注意に加え、議員の発言に対する研修やガイドラインの徹底を進める方針で、与野党間でも国会での言葉遣いや表現のあり方をめぐる議論が続くとみられます。
玉木氏は、自衛隊批判がそのまま「平和主義」と結び付けられる古い安全保障観から、実態に即した現実的な議論へと転換する必要があると訴えました。防衛力強化や自衛隊の位置づけをめぐる議論が続く中で、今回の一連の騒動は、政治家が安全保障や自衛隊を語る際の認識や言葉の精度が、これまで以上に問われる局面に入っていることを示したと言えます。








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