
エスエス製薬は6月10日、医師の処方箋なしにドラッグストアなどで購入できる勃起不全(ED)治療薬「シアリス」を、市販薬として新たに発売すると発表しました。ED治療薬が市販薬(OTC医薬品)として販売されるのは国内初のケースとなります。
「シアリス」は、7月31日からイオングループやツルハホールディングス、ウエルシアホールディングスの一部店舗で順次先行販売が開始され、8月31日からは全国で発売される予定です。希望小売価格は1箱入り(4錠)で5808円(税込み)に設定されています。
同製品の有効成分はタダラフィル(10mg)であり、性行為の約1時間前に服用します。性的刺激を受けた際に勃起をサポートし、1回1錠の服用で最大36時間その効果が持続します。日本では1999年1月のバイアグラ認可を皮切りに、2007年9月にシアリスが発売され、EDに悩む男性の健康改善に大きく寄与してきましたが、これまでは医師の処方箋が必要な医療用医薬品でした。しかし、厚労省の専門部会で市販化が了承されたことを受け、今回の「要指導医薬品」としての発売に至りました。
購入に際しては安全確保のための厳格な手順が設けられています。「要指導医薬品」に分類されるため、対象は18才以上の成人男性に限定され、購入希望者は事前に専用のウェブサイト等からチェックシートへ基礎疾患の有無や現在服用している薬の状況などを入力します。その後、薬局のカウンター等で薬剤師と対面して服薬指導を受け、服用可能と判断された場合のみ1箱を上限として購入が許可されます。このように、手軽に手に入る反面、適切な対面販売を通じた適正使用の確認が必須となっています。エスエス製薬の元島陽子社長は都内で開いた発表会において、「EDへの偏見や社会の意識改革にも挑んでいきたい」と述べ、患者が過度な羞恥心にとらわれることなく、適切な治療にアクセスしやすい環境づくりを目指す姿勢を強く強調しています。
市販化がもたらす医療アクセスの向上と安全性確保への課題
これまでED治療薬は、医療機関を受診する心理的ハードルの高さから、一部で個人輸入などの非正規ルートが横行し、偽造薬による健康被害が懸念されていました。今回、国内初の市販薬として「シアリス」が正規に購入可能となることで、悩みを抱える男性が安全かつ身近に治療へアクセスできる環境が整うと期待されます。
一方で、安全性確保は依然として重要な課題です。ED治療薬は、特定の薬(硝酸薬など)と併用した場合、急激な血圧低下を招く重篤な副作用のリスクがあります。そのため、店頭における薬剤師の的確な対面指導の徹底が制度の要となります。
ネット上では、「通院のハードルが下がってありがたい」「偽物を買うリスクが減る」と歓迎する声が上がる半面、「対面相談は結局恥ずかしいのでは」「持病がある人の誤用が心配」といった慎重な意見も寄せられています。今後は適正使用の啓発とともに、この新しい購入制度の社会への定着が注目されます。












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