
イタリアのアントニオ・タヤーニ副首相兼外相が6月19日、ジョルジャ・メローニ首相がアメリカのドナルド・トランプ大統領から「侮辱」を受けたとして、21日から22日に予定していた訪米を急遽中止すると発表しました。
現地メディアなどの報道によると、事の発端は、トランプ米大統領が19日、イタリアのテレビ局「ラ・セッテ」の電話インタビューで、15日から17日にフランス東部エビアンで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)でのやり取りについて語ったことです。トランプ氏は、サミットの場でメローニ首相と会話を交わした場面について、彼女が自分と写真をどうしても撮りたがったとし、「写真を一緒に撮ってほしいと懇願された。気の毒に思ったので応じた」と主張しました。なお、イタリア首相府はサミット最終日に両首脳がソファに座って会話する写真を公開しています。
この一方的な発言に対し、メローニ首相は自身のSNSに動画メッセージを投稿して激しく反論しました。メローニ首相は、トランプ氏の発言について「完全なでっち上げで驚いている。なぜアメリカの大統領が同盟国に対してこのような振る舞いをするのか理解し難い」と強い不快感を表明した上で、「私とイタリアは決して懇願などしない」と強い口調で否定しました。さらにメローニ首相は、トランプ氏が同盟国に対して攻撃的な態度を取る一方で、「西側や米国の敵国指導者に断固とした姿勢を示さず、迎合的なのは残念だ」と皮肉を込めて批判しました。
こうした事態を受け、タヤーニ外相は19日、トランプ大統領の発言が「イタリアへの侮辱だ」と強く非難しました。そして、予定していたアメリカへの訪問を正式に取りやめると発表し、両国の対立は一気に深刻な外交問題へと発展しています。さらにトランプ大統領は19日の米メディアの取材に対しても、メローニ首相がホルムズ海峡を巡る軍事的な対応に関与しなかったと述べ、不満をあらわにして批判を続けていると報じられています。
盟友から一転した関係悪化の背景とネットの反応
かつて「盟友」とも呼ばれた両首脳の関係悪化の背景には、外交方針や宗教指導者を巡る深い対立が存在しています。
トランプ氏とメローニ首相は当初は良好な関係にありましたが、イランでの軍事作戦を巡るアメリカの姿勢がきっかけで亀裂が生じました。特に、紛争への協力を拒んだローマ教皇レオ14世をトランプ大統領が公然と非難した際、熱心なカトリック教徒が多いイタリアのメローニ首相は「到底容認できない」と強い抗議の声明を出しており、両者の間にはすでに決定的な溝が生まれていました。
1枚の写真を巡る発言が外相の訪米中止という異例の事態にまで至った今回の騒動について、ネット上では、「トップの身勝手な発言が同盟国の反発を招くのは当然だ」「写真の真偽以前に、同盟国としての基本的な敬意が欠けている」「イタリアが主権国家として毅然と抗議する姿勢は支持できる」などの意見が寄せられています。国際秩序が揺らぐ中、軍事力を背景とする「米国第一主義」と、主権と対等性を重んじる欧州側との構造的な摩擦は、今後さらに激化する可能性があります。






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