
イラン軍中央司令部・革命防衛隊は20日、原油輸送の要衝ホルムズ海峡について全船舶の航行を禁止し海峡に近づかないよう求める声明を発表しました。イスラエル軍によるレバノン南部などへの攻撃が続いていることを理由に、米国との間で17日に署名した覚書への違反だと主張しています。
イラン側は通航する船舶に事前届け出を求める考えも示しました。一方、米国とイランは戦闘終結と最終合意に向けた実務者協議を21日、スイス中部ビュルゲンシュトックで行う見通しとなっており、軍事的緊張をはらみながら外交交渉も進む、不安定な状況が続いています。
イラン側によれば、今回の封鎖発表は、米国と署名した「イスラマバード覚書」の柱である「レバノンを含む全戦線での戦闘終結」が守られていないことへの対抗措置です。報道によると、4月以降100カ所以上の空爆や南部70カ所以上への空爆など、イスラエル軍による攻撃は断続的に続いており、死者数が増え続けていると伝えられています。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の2割前後が通過する重要な「チョークポイント」とされ、イランが封鎖について言及するたび、国際エネルギー市場に緊張が走ってきました。今回も革命防衛隊が、海峡に接近する船舶は危険にさらされると警告する声明を発表しました。
ただし米中央軍は20日、商船55隻が通過して原油1700万バレル超が輸送されたと発表しており、安全な通航は維持されていると強調しています。同海峡の正規航路はもともと水深の関係でオマーン側領海内に設定されており、緊張時にはこちらの航行がより安全とみなされる傾向もあります。
停戦協議の焦点と不透明な情勢
米国とイランは4月11、12日のイスラマバード協議が決裂した後も交渉を継続し、6月14日に14項目の覚書案で合意、17日にフランス・エビアンで開催中のG7サミットに合わせデジタル形式で署名しました。覚書には海峡の60日間の無料通航などを盛り込みましたが、期間後の扱いを巡ってはイラン側が通行料徴収の意向を示しており、火種は残ったままです。
18日から60日間の交渉期間に入った直後、19日にスイスで予定されていた協議は、イスラエルとヒズボラの交戦激化を理由に延期され、21日に改めて開催される運びとなりました。米国のJ・D・バンス副大統領も協議のためスイス入りしており、両国の主張の応酬はなお続いています。交渉の行方とホルムズ海峡の通航再開状況が、中東情勢や世界のエネルギー市場の今後を占う焦点となっています。












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