エイベックス、1億ドル投資で楽曲版権ビジネスを本格グローバル展開 ストリーミング成長を追い風に

エイベックスが、楽曲の著作権・音楽カタログ取得に総額1億ドル(約159億円)を投じる新プロジェクトを始動し、世界で拡大する楽曲版権ビジネスに本格参入する方針を打ち出しました。米国に設立した特別目的会社(SPC)を通じて、今後12カ月程度で音楽著作権や出版カタログを段階的に取得し、ストリーミングから得られる使用料収入を安定的な収益源として取り込む狙いです。
同社は2026年3月、米ロサンゼルス拠点のAvex Music Group LLC(AMGL)を通じ、世界的アーティストであるブルーノ・マーズ氏とのグローバル音楽出版パートナーシップを締結しました。この契約により、ブルーノ・マーズ氏が今後制作する楽曲について、エイベックス側が全世界で独占的な音楽出版管理を担うことになります。現行の出版契約が終了し次第、順次管理業務を開始し、新曲すべてが対象となるスキームです。
1億ドル規模のカタログ取得プロジェクトの第1弾としては、米国の歌手テディ・スウィムズ氏の世界的ヒット曲「Lose Control」を手がけたプロデューサー、Infamous(インファマス)氏の音楽カタログを取得したと報じられています。「Lose Control」は世界的に数十億回規模でストリーミング再生されたとされ、同曲を含む音楽カタログは、再生回数に応じた使用料収入が見込める重要な資産と位置づけられています。
プロジェクトの資金面では、エイベックスは自己資本5,000万ドルに加え、米金融機関シティ・ナショナル・バンク(City National Bank)とのパートナーシップに基づき、上限5,000万ドルのノンリコースローンを組成する計画です。また、米デラウェア州には「Avex Catalog Fund 1 LLC」と、その100%子会社「Avex Song Fund 1 LLC」をSPCとして設立し、音楽関連権利の管理・運用事業を強化する体制を整えました。
エイベックスはこれまで国内中心に展開してきた音楽出版・版権ビジネスを、北米を起点としたグローバル市場へと広げることで、ストリーミング主導で拡大する世界の音楽市場の成長を積極的に取り込む戦略です。
ストリーミングが牽引する世界音楽市場と版権投資の潮流
国際レコード産業連盟(IFPI)のレポートによると、2025年の世界の録音音楽市場の売上高は過去最高の317億ドルに達し、その約7割をストリーミングが占めています。ストリーミング売上は220億ドル超に拡大し、有料サブスクリプションのユーザー数は世界で8億3,700万人に達するなど、定額制サービスが市場成長の主役となっています。
市場の成長性については、30年にかけて音楽配信市場が770億ドル規模へ拡大するとの民間調査もあり、再生回数に連動して利用料が支払われる楽曲版権の価値は一段と高まっていると指摘されています。このため、エイベックスのようにヒット曲を多く含む音楽カタログを取得し、ストリーミング由来のロイヤルティを長期的に確保しようとする動きが、音楽企業や金融機関の間で世界的に広がっています。
日本勢では、ソニーグループが2026年5月、レディー・ガガ氏らの楽曲を含む約4万5,000曲以上の音楽カタログを数千億円規模で取得したと報じられており、大手企業による大規模な版権投資が相次いでいます。エイベックスも、今回のSPC設立と1億ドル投資プロジェクトを通じて、カタログ取得の実績や収益状況を見極めながら、将来的な投資規模の拡大を視野に入れているとみられます。
音楽はヒットの有無によって収益が大きく変動しやすいビジネスですが、ストリーミング時代の音楽カタログは長期にわたって再生されることで、比較的安定したキャッシュフローを生み出す「金融資産」としての性格を強めつつあります。エイベックスがブルーノ・マーズ氏とのパートナーシップやInfamous氏のカタログ取得を足がかりに、どこまでグローバル版権市場で存在感を高めていけるかが、今後の焦点となります。












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