
日産自動車の定時株主総会において、大株主の仏ルノーがみずほフィナンシャルグループ出身の社外取締役選任案に対し、棄権する方針を固めた模様です。対象とされるのは、監査委員長を務める永井素夫氏と、新任候補の真保順一氏です。ルノーは国際的な企業統治基準に照らし、両氏の独立性に疑念を持っているとされます。
日本の大企業において、大株主が主要取引銀行出身の役員人事に対して公然と不支持の意向を伝えるのは極めて異例の事態です。これにより、株主と取引銀行の間で板挟みになる日産の苦境が浮き彫りとなっています。
かつて1990年代末の経営危機で救済出資を受けて以来、両社の力関係は長くルノーの圧倒的優位が続いていました。その後協議を重ね、2023年には資本関係の対等化(リバランス)で合意し、ルノーの議決権ベースでの保有比率はかつての約43%から15%にまで低下しました。リバランス後、両者が対立する場面は一時的に減少していましたが、2019年の定時株主総会前にもルノーが新設ポスト数を不服として棄権を示唆し、日産に妥協を迫った過去があります。信託保有分について原則的に議決権を持たないものの、過去の発表資料では「一部の例外を除き、中立的に行使」されるとしており、今回のケースでどのような運用がなされるかが投票結果を左右する重要なポイントとなります。
業績悪化を受けて、2025年に内田誠前社長兼最高経営責任者が退任した際、独立社外取締役は全員留任しており、経営刷新のあり方についても厳しい視線が注がれています。ガバナンス不全が再び顕在化する中、ルノーが大株主の立場から経営への介入を再び強める可能性が高まっています。
深刻化する業績低迷と迷走する再建策
ルノーが再び経営への監視を強める最大の要因は、日産の深刻な業績低迷と事業戦略の迷走にあります。米国や中国市場での販売低迷により、2024年後半には再び業績悪化が表面化しました。直近の業績見通しにおいて、2026年3月期の連結決算では前期に続き2期連続となる約6500億円の最終純損失(赤字)が見込まれています。
この巨額赤字を受け、国内生産拠点の再編を含む厳しい対応を迫られており、同社は2027年度末をめどとする追浜工場(神奈川県横須賀市)での車両生産終了などを柱とする大規模なリストラ策の断行を余儀なくされています。さらに、提携戦略の立て直しに向け、2024年春からホンダとの戦略的パートナーシップの検討を進めていましたが、2025年1月にホンダ側から共同持ち株会社の設立を含む強硬な統合案が提示されました。これに対し日産側が反発し、具体的な提案からわずか1カ月後の同年2月に交渉が破談となるなど、再建へのシナリオは迷走を極めています。厳しい市場環境下で具体的な再建の道筋はいまだ見えず、経営陣は極めて難しい舵取りを迫られています。





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