
6月22日の米株式市場において、米IT大手グーグルの親会社であるアルファベットの株価が急落しました。取引時間中には一時7.2%安を記録し、これは2月以来の大きさとなる大幅な下落率となりました。市場では、同社の人工知能(AI)研究を牽引してきた世界最高峰の著名な研究者が、相次いでライバル企業への移籍を発表したことが嫌気され、売りを誘発する最大の要因として材料視されました。
今回の頭脳流出において最も市場に衝撃を与えたのは、グーグル傘下のグーグル・ディープマインドで要職を務めていたジョン・ジャンパー氏の退社表明です。同氏は、タンパク質構造を予測する画期的なAIモデルの開発などを牽引し、その多大な功績により2024年のノーベル化学賞を受賞した世界的なトップ研究者として知られています。ジャンパー氏は19日、長年の中核的な貢献を経て、2026年末の引き継ぎ完了をめどに同社を去り、次世代AI開発で激しい覇権争いを繰り広げている競合スタートアップのアンソロピックへ移籍することを自身のSNSで明らかにしました。
さらに、そのわずか数日前には、グーグルを代表する研究者の一人であるノーム・シャジール氏も、競合のオープンAIへ移籍すると発表していました。シャジール氏は、現在の生成AIブームの原点となった極めて重要な論文の共同執筆者であり、直近ではグーグルの最先端AIモデルであるジェミニの開発を主導する責任者を務めていました。高度なAIモデル開発において重要な役割を担う最高峰の人材が連続して流出した事態は、投資家の間で同社の人材引き留め能力や、今後の熾烈な開発競争を勝ち抜く力に対する不信感と深い疑念を強める結果となっています。
ハイテク株全体への波及と市場の警戒感
アルファベット株に対する売りは、大型ハイテク株全体の軟調な地合いをさらに悪化させました。マグニフィセント・セブンと呼ばれる米主要ハイテク企業7社の値動きを追う指数は、22日に一時2.2%下落しました。個別銘柄の動向を見ても、アマゾン・ドット・コムが4%超の大幅安と大きく売り込まれたほか、メタ・プラットフォームズとマイクロソフトもそれぞれ2%を超える下落を記録し、相場全体を冷え込ませています。
現在、米IT大手各社は次世代モデルの開発とデータセンターの拡充に向けて莫大なインフラ投資を継続しています。しかし、今回のグーグルにおける主力人材の競合流出に見られるように、激化する人材獲得競争と巨額の設備投資が、将来的に確固たる事業収益と持続的な競争優位性に結びつくのか、市場の視線は厳しさを増しています。AI競争が技術開発から本格的な事業化へと移行する中で、投資家の間には警戒感が広がっています。










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