
米連邦捜査局(FBI)をはじめとする米連邦当局は、中国の工作員とみられる人物らが米国の政府関係者らの勧誘に悪用していた「偽のコンサルティング会社」のインターネットドメイン13件を差し押さえたと発表しました。米司法省が6月10日に公表した宣誓供述書によると、これらのドメインは、安全保障上の機密情報の取り扱い資格を持つ米国の元当局者や現職当局者、軍関係者らを巧妙に誘い出し、国家の機密情報をだまし取るための隠れみのとして悪用されていたとみられています。
差し押さえられた各ウェブサイトでは、リモートで活動する「国際情勢アナリスト」や「防衛関連アナリスト」、また「元軍人向けコンサルタント」といった一般的なコンサルティング職や専門性の高い防衛分野の求人を偽って募集が行われていました。機密取扱資格を持つ米政府の元・現職当局者や軍関係者、防衛産業従事者だけでなく、研究者やシンクタンク職員らも標的とされており、すでに氏名不詳の少なくとも7人が実際に勧誘され、情報提供の依頼を引き受けて(採用されて)いたとされています。勧誘側は応募してきた個人に対して、当初は米中関係の動向や政策分析、インド太平洋地域の安全保障問題などに関する文書の作成を依頼し、その執筆の対価として高額な金銭的報酬を提示していました。
しかし、関係が深まるにつれ、さらに踏み込んだ機微情報や独占的な内部情報を提供するよう要求をエスカレートさせていく手口がとられていました。運営費や報酬の支払いには暗号資産(仮想通貨)や海外の銀行口座送金、オンライン決済サービスが使用されており、捜査の手から逃れるための巧妙な資金洗浄の仕組みが構築されていました。実際に機密情報が共有されたかについては現時点で明らかになっていませんが、主導した人物らは全員が海外を拠点に中国政府のために行動していたとみられています。今回の差し押さえは、米国の国家安全保障に直結する重要な情報を守り、背後にある巨大な諜報ネットワークを解体するための極めて断固たる措置となりました。
「ファイブ・アイズ」も警告する求人サイト悪用の手口と今後の影響
この差し押さえに先立ち、米国や英国など5カ国の情報機関で構成される「ファイブ・アイズ」は3日、中国の軍事情報機関が大手オンライン求人サイトやビジネス特化型SNSを悪用し、諜報活動のための人材を募集しているとして強い注意喚起を行っていました。人材紹介会社の関係者を装った工作員が専門家やジャーナリストに接触し、暗号化されたメッセージアプリに移行した上で、段階的に機密情報を要求する手口が浮き彫りとなっています。たとえ個別の報告書が非公開の機密情報でなくても、断片的な情報を収集して分析することで、西側諸国の防衛政策の全体像が把握されてしまう危険性があると専門家は警鐘を鳴らしています。
これに対し、ワシントンの中国大使館は、「中国によるスパイの脅威」という指摘は完全に捏造された悪意ある中傷であるとして猛烈に反発しています。国家を挙げたサイバー空間における静かなる情報戦は、安全保障上の新たな最前線となっており、今後の動向が注視されます。












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