「マエストロ」グリーンスパン元FRB議長が死去 長期安定と金融危機の影を残して

「マエストロ」グリーンスパン元FRB議長が死去 長期安定と金融危機の影を残して

米連邦準備制度理事会(FRB)議長として約18年半にわたり世界経済に影響を与えたアラン・グリーンスパン氏が22日、パーキンソン病に伴う合併症のため自宅で死去しました。100歳でした。 妻でジャーナリストのアンドレア・ミッチェル氏が、パーキンソン病の合併症により22日朝に亡くなったとする声明を出し、米メディアなどを通じて明らかにしました。 グリーンスパン氏は1987年から2006年まで4人の大統領の下でFRB議長を務め、低インフレと長期景気拡大を両立させた手腕から「マエストロ(名指揮者)」と称されました。 一方で、その政策は2000年代後半の世界金融危機の「温床」になったとの批判も受けており、功罪両面の評価が改めて問われています。

1926年3月、ニューヨーク生まれのグリーンスパン氏は、フォード政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めた後、レーガン大統領の指名で1987年8月にFRB議長に就任しました。 就任直後の同年10月には、ニューヨーク株式市場が急落した「ブラックマンデー」に直面し、「必要な流動性を供給する用意がある」と市場にメッセージを発することで、パニックの沈静化に一定の役割を果たしました。 1990年代には巧みな利上げ・利下げを織り交ぜながら、低インフレを維持しつつ、当時として最長クラスの景気拡大を実現したと評価されています。

その一方で、1996年12月には株価の過熱に対し、「根拠なき熱狂」が資産価格を過度に押し上げていないかと問いかける講演を行い、株式市場に冷や水を浴びせた形となりました。 2001年の米同時多発テロ後には、景気下支えのために相次ぐ利下げを断行し、ITバブル崩壊後の景気悪化に歯止めをかけたとされています。 他方で、長期にわたる低金利と金融規制緩和を積極的に支持した姿勢が、住宅バブルを膨張させ、2008年以降の世界金融危機につながったとの批判も根強く残っています。

長期在任が残した功績と課題 市場と社会が振り返る「金融の神様」

FRBはグリーンスパン氏の死去を受けて声明を発表し、物価安定と経済成長の実現に尽くした指導力をたたえるとともに、緻密な統計分析に基づく政策運営によってFRBへの信認を高めたと評価しました。 市場では、18年以上という長期在任を通じて世界の中央銀行運営のモデルを示した存在として、その金融政策の遺産を改めて検証する動きが広がっています。

一方で、グリーンスパン氏は講演などであえて解釈の分かれる表現を用い、「分かりにくい発言」で市場を試すスタイルでも知られていました。 退任後は、低金利政策と規制緩和の副作用が金融危機を招いたとの批判を受け、議会証言の場で「市場の自己調整機能を過大評価していた」と認めたことも、その評価を複雑なものにしています。

米メディアへの声明でミッチェル氏は、グリーンスパン氏を「民主・共和両党の政権を通じて米国経済の形成に貢献した巨人であり、自らの過ちを認める誠実さを持った人物だった」と追悼しました。 世界の金融政策に大きな足跡を残した「金融の神様」の死去は、物価と成長、そして金融安定をいかに両立させるかという、各国の中央銀行が向き合い続ける課題を改めて突きつけていると言えます。

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