
イスラエルとレバノンの両政府は6月23日、アメリカのワシントンで大使級の協議を開きます。中東地域の緊張緩和に向けた外交交渉が活発化する中、米国とイランが17日に署名した戦闘終結に向けた「14項目の覚書」には、レバノンを含む全戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な終結が盛り込まれました。しかし、当事者であるイスラエル政府はこれを強く否定しており、国境を接する親イラン武装組織「ヒズボラ」に対する軍事作戦を今後も継続すると主張しています。
イスラエルは、自国北部などへの攻撃が深刻な直接的脅威となっている現状から、イランの支援を受けるヒズボラの完全な武装解除を強く求めてきました。これに対し、ヒズボラを敵対するイスラエルへの不可欠な抑止力とみなして支援を続けるイランは、武装解除には一切応じない姿勢を崩しておらず、両者の隔たりは非常に大きいままです。スイスで21日から22日に開かれた米イランの高官協議ではレバノン情勢も主要な議題となり、仲介役を務めるパキスタンとカタールの共同声明によれば、ホルムズ海峡を通過する商船の安全を確保するための新たな連絡チャネルを構築することで合意に至りました。
また、同協議ではレバノンでの戦闘終結に向けても大きな進展があったと報じられています。さらに一部の海外メディアの報道によれば、同協議の周辺において、米国の支持を受けたイスラエル軍が、侵攻の過程で占領した南部領土の一部をレバノン正規軍に引き渡すという新たな提案も水面下で議論されている模様です。
これまでも両国政府はヒズボラを巡って協議を続けてきましたが、具体的な成果は出ていません。ヒズボラはレバノン正規軍を上回る軍事力を保持しており、レバノン政府の管理が及んでいないのが実情です。イスラエルは米国の圧力でいったん停戦を受け入れても、ヒズボラによる合意違反を理由に攻撃再開を繰り返してきました。イスラエル軍は3月2日の戦闘開始以降、国境地帯から徐々に北上してレバノン南部でヒズボラの戦闘員や軍事インフラを狙った攻撃を執拗に広げてきました。
ネタニヤフ首相は6月22日に「イスラエル軍は引き続き確固たる行動を取る」との強硬な声明を出しており、イスラエル首相府報道官も同日の記者会見で「我々は米イランの覚書の当事者ではない」と言明するなど、根本的な解決策は棚上げされた状態が続いています。
イスラエル国内の世論と強硬姿勢が招く反発
イスラエル政府が強硬策を取り続ける背景には、10月までに実施される総選挙を控えて、国民に対して「弱腰」を見せられない政権特有の内政事情が存在します。国内ではヒズボラによる攻撃でイスラエルの兵士や民間人が多数犠牲になっており、攻撃を徹底して続けるべきだとの声は依然として根強いのが実情です。
ヘブライ大学が17日から20日にかけて実施した世論調査では、トランプ氏との関係に影響を与えたとしてもヒズボラに対する大規模な軍事作戦再開に「賛成」する人は48.2%に上り、「反対」(20.9%)を大きく上回る結果となりました。このように武力行使を支持する世論に後押しされる形で、軍事行動の抑止は困難な状況となっています。米イランの高官協議が始まる直前の20日には、イラン革命防衛隊がレバノン情勢を理由にホルムズ海峡が「封鎖された」と警告を発しました。米国側はこの封鎖を直ちに否定しましたが、イスラエルのレバノンでの強硬な軍事行動がイラン側の強い反発を招き、中東全体を巻き込む火種となる構図は今なお継続しています。








-280x210.png)



-300x169.jpg)