
ソフトバンクグループ株式会社(SBG)が開いた第46回定時株主総会で、孫正義会長兼社長が語ったメッセージは、単なる事業説明を超え、日本の電力・通信・AIインフラを再構成する長期構想を浮かび上がらせる内容だったといえます。 孫氏は、自社の既存工場で「フィジカルAI」を搭載したロボットが、同じロボットの量産を既に始めていると明らかにしました。 ロボット自身が生産工程の担い手となるというこの取り組みは、製造業の自動化を一段と進めるだけでなく、将来的なコスト構造や供給能力を根本から変えうる試みです。
注目を集めたのは、東京電力ホールディングスへの資本参加をめぐる発言です。 経営再建の柱とされる外部企業との資本提携プロセスで、通信事業を担うソフトバンク株式会社が「オーナーとして名乗りを挙げており、何社かの候補の中で重要な候補として残っている」と位置づけられていることを明かしました。 日本ではデータセンター整備が諸外国に比べて遅れているとの問題意識を示し、「もし(東電が)われわれのグループの中に入れば、電力を増やしてAIデータセンターを日本に持ってくる」と述べたことは、電力インフラとAI産業を一体で捉える視点を物語ります。
こうした発言の背景には、SBGが自らを「AI時代の社会インフラ企業」へと転換させようとする意図があります。グループ内の多様な事業を束ね、AIとデータセンター、通信ネットワーク、そして電力という基盤を組み合わせることで、国内外の企業や自治体に対し、統合的なインフラサービスを提供する構想がうかがえます。 フィジカルAIロボットの量産開始は、その象徴的な一歩として位置づけられていると言えるでしょう。
孫氏の「延長された人生計画」とASI、株主に示した長期ビジョン
今回の総会で孫氏は、これまで掲げてきた「人生50カ年計画」を修正し、「もうあと10年か15年頑張る」と宣言しました。 60代で次の世代に事業承継する構想から一転し、68歳の現在も自らが成長戦略の舵取りを続ける意向を明確にした形です。 そのうえで、70代のうちに「人工超知能(ASI)」を現実のものとすることを人生計画に加えたと語り、技術面でも時間軸でも、極めて野心的なゴールを株主に示しました。
株主価値の指標であるNAV(時価純資産)について、今後16年で1000兆円まで引き上げるという目標を掲げた点も見逃せません。 現時点の約74兆円から約14倍への拡大を見込むこのシナリオは、フィジカルAIやAIデータセンター事業、投資ポートフォリオの拡充などを通じて、グループ全体の価値創造を加速させるという強いメッセージです。 同時に、AIブームが「バブルではないか」といった懐疑に対して、「始まったばかりの業界でバブルという言い方はAIを冒涜している」とし、「AIの底力はここから一気に広がっていく」と反論しました。
政治との距離感については、トランプ米大統領との関係を問われ、「米国を強くして繁栄をもたらしたいという思いは強烈だ」と評価する一方、「このまま平和をもたらしてほしい」と国際情勢への懸念もにじませました。 技術とインフラ、そして地政学が絡み合う中で、SBGの長期ビジョンがどこまで現実のものとなるのか、今後の具体的な投資判断と政策動向が問われていくことになります。












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