原油価格急落、ホルムズ海峡再開でイラン攻撃前水準を下回る

製油所と石油タンカー

6月25日の原油市場において、国際的な指標となる北海ブレント原油先物と米国産指標のWTI先物が大幅な値下がりを見せました。北海ブレント原油先物の期近8月物は一時1バレル72ドル台前半を記録し、WTI先物も一時1バレル69ドル台まで下落して70ドルの大台を割り込みました。これは、米国とイランによる戦闘勃発前の2月末の水準を下回る、およそ4カ月ぶりの安値となります。

急落の主な要因は、両国間の戦闘終結に向けた覚書の署名と、それに伴うホルムズ海峡の通航再開です。約3カ月に及んだ実質的な封鎖状態が解除され、原油供給が正常化するとの期待が市場に広がりました。ライト米エネルギー長官は24日、過去24時間で約72隻のタンカーが通過し、封鎖前と同水準に近づく2000万バレル相当の原油が輸送されたと明かしています。

さらに、世界的な需給バランスの早期回復を後押ししているのが、中東域外を通る代替ルートの拡充と非中東諸国からの供給増です。サウジアラビアは紅海側のヤンブー港、UAEはオマーン湾側のフジャイラ港を活用し、パイプラインによる迂回輸出の準備を紛争前から進めており、実際に代替ルートとしての機能を果たしています。

今回の覚書により、米国はイランへの制裁を解除し、同国からの原油および石油製品の輸出が正式に認められることになります。イラン国内の生産余力や輸出能力は非常に大きいと見積もられており、市場関係者の間では、紛争以前と比較しても同国からの供給量が一段と増加する可能性が高いと見られています。こうした複合的な供給増の観測が、原油価格の急激な下押し圧力となって市場を主導しています。

安値定着には不透明感も、残る地政学リスクと在庫補充の動き

一方で、現在の原油安が長期的に定着するかどうかは依然として不透明です。イランの核問題を巡る多国間協議は難航を極めており、イスラエルによるレバノン南部への継続的な軍事行動など、中東地域に火種は残されたままです。これにより、海峡が再び封鎖される懸念はくすぶり続けており、70ドル未満の安値水準を維持できるのは2027年以降になるとの慎重な見方も市場には存在します。

また、ホルムズ海峡の開放期間は合意に基づく60日以降は保証されておらず、海域における機雷の除去や商船への安全確保が明確になるまでには、まだ時間を要します。ペルシャ湾内に取り残されていた船が出た後、新たな積み込みのために再び湾内へ船が戻るのにも数週間はかかると見られています。

さらに、価格高騰時に多くの国が放出した国家備蓄や民間在庫を再び補充する必要があることも、相場の下値抵抗として機能する見込みです。今後の供給正常化のスピードとともに、各国の動向と地政学リスクの推移が注視されます。

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