
ポルトガルの新興企業であるTEKEVER(テックエバー)は、日本国内に防衛用ドローン(無人機)の製造拠点を新設します。日本での顧客開拓に向けて丸紅が進出を支援し、販売代理店契約を結ぶ予定です。海外の防衛企業が日本に製造拠点を設けるのは初めてとみられており、数カ月以内に立地先が発表されます。
テックエバーは2001年に設立され、2008年にドローン事業に参入しました。2025年にはNATOイノベーションファンド等から約7000万ユーロ(約120億円)を調達し、企業価値が10億ドルを超えるユニコーン企業(未上場企業)となっています。英国やフランスなど欧州5カ所に製造拠点を有し、英国空軍などへの機体供給実績を持つ同社ですが、本格的なアジアへの進出は今回が初となります。同社が手掛ける機体は情報収集や警戒監視、偵察向けで、殺傷能力を持たないとされています。1回の充電で2000キロメートル以上を飛行できる性能を持ち、防衛装備品に加え、海上保安やインフラ監視などでの軍民両用(デュアルユース)も見込まれます。
特筆すべきは、ウクライナでの実戦経験です。ウクライナ政府に機体を提供しており、約3年間でロシア軍の防空システムなどに対して30億ポンド(約6400億円)相当の損害を与えるのに貢献したという実績があります。1万時間以上の実戦飛行データを生かし、ドローンの遠隔操作を阻害する電波妨害(ジャミング)の回避性能を高めている点が特長です。これにより、全地球測位システム(GPS)や無線通信が遮断された環境でも飛行を継続できます。
今後、センサーなど日本企業が強みを持つ要素技術を機体製造に積極的に活用し、将来的には日本製の部品だけで製造することも検討されています。日本政府が4月に防衛装備移転三原則を改定し「5類型」を撤廃して一部輸出を解禁したことを受け、テックエバーは日本をアジア市場への重要な輸出拠点と位置づけています。
日米企業も参入本格化、量産・迎撃体制の構築へ
ウクライナ戦争を機に安価な無人機を大量投入する「新しい戦い方」が広がる中、国内の生産基盤整備が急務となっています。日本政府は年末にも安全保障関連3文書を改定し、ドローンを国内で大量調達できる体制の整備を打ち出す方針です。成長戦略として官民で投資する戦略17分野にも小型無人機などが盛り込まれました。
国内外の企業動向も加速しています。米国の新興企業Anduril Industries(アンドゥリル)は、日産自動車の追浜工場(神奈川県横須賀市)を取得し、軍事用ドローンの超大規模な生産拠点へ転換するための協議を進めていることが6月25日に海外メディアで報じられました。
また、日本の大手・新興企業も投資を本格化させています。さらに、新興企業Terra Drone(テラドローン)も、迎撃ドローンを手掛けるウクライナ企業2社の買収を発表しました。安価なドローンで監視・迎撃する体制の構築に向け、国内での新たな防衛エコシステムの形成が急速に進んでいます。












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