
不動産調査会社の東京カンテイがまとめた5月の中古マンション価格動向によりますと、東京都心6区の平均売り出し価格が2カ月ぶりに前月比マイナスとなりました。70平方メートル換算の平均価格は1億8748万円で、前月比0.4%の下落となっています。一方で、前年同月比では14.7%の上昇と高い水準を維持しており、価格レベルとしてはバブル期を上回る歴史的な高値圏が続いています。在庫の積み上がりや値下げ物件の増加が都心エリアの価格調整につながったと分析されています。
同社が公表した「三大都市圏・主要都市別 中古マンション70平方メートル価格月別推移」によると、東京23区全体の平均価格は1億2849万円で、前月比1.0%上昇、25カ月連続のプラスとなりました。港区や千代田区などを含む都心6区は依然として全体の平均を押し上げる役割を果たしていますが、在庫増加の影響から、都心部に限ってみると価格が頭打ちとなり、足もとではわずかに下落に転じています。中古マンション市場は新築に比べて需給バランスの変化を価格に反映しやすいとされ、東京カンテイの指標は今後の不動産市況を占ううえで重要な材料と位置づけられています。
市況面では、これまで国内外の投資マネーが都心部の価格上昇を牽引し、東京23区の中古マンション平均価格は2002年の調査開始以降で過去最高を更新する局面が続いてきました。しかし、物価高や金利上昇を背景とした住宅ローン返済負担の増加が実需層の購入意欲を冷やしつつあり、足もとでは「売り手優位」一辺倒だった市場に変調の兆しが出ていると指摘されています。東京カンテイのレポートでは、都心部で価格改定(値下げ)を実施した物件の比率が直近のピーク水準に迫っていることが示されており、売却益を狙う投資家と、住宅取得を目指す実需層との温度差が浮き彫りになっています。
エリア別に見ると、品川区や世田谷区などを含む城南・城西6区の平均価格は1億0674万円で、前月比1.5%上昇し、27カ月連続のプラスとなりました。台東区や江東区を含む城北・城東11区も8294万円と前月比1.5%の上昇で、15カ月連続の上昇を記録しています。都心6区が一歩先に調整局面入りした一方で、周辺エリアでは依然として価格上昇基調が続いている構図が浮かび上がっています。また、近畿圏では大阪市中心6区の中古マンション平均価格が9292万円と、29カ月ぶりに前月比0.3%のマイナスに転じており、東京以外の大都市圏にも価格調整の波が広がりつつあることがうかがえます。
投資マネーの「一服」と実需の行方
東京カンテイの市況コメントなどによれば、東京都心の中古マンション市場では、これまで続いてきた「行き過ぎた価格上昇局面」が一旦落ち着き、買い手と売り手の双方が様子見姿勢を強めているとされています。在庫が積み上がるなかで、高値圏で売り出された物件の一部が相次いで価格を引き下げており、短期的には、年末に向けて価格は横ばいから緩やかな上昇にとどまるとの見方が示されています。一方で、物価や金利の一段の上昇に加え、海外情勢の悪化が実体経済に波及した場合には、実需層の購買意欲がさらに弱まり、市況が下振れするリスクも意識されています。
中古マンション価格は、新築市場よりも早く需給バランスの変化を映し出す指標とされており、都心6区の足元の調整は、超高値圏にあった不動産市場が転換点を迎えつつあるシグナルと見る向きもあります。他方で、東京23区全体としては依然として高い価格水準と上昇基調を保っていることから、今後の金利動向や賃金の伸び、投資家マネーの行方次第では、都心部と周辺部で「二極化」が進む可能性も指摘されています。実需層や投資家にとっては、価格水準だけでなく在庫や成約件数の推移といった指標にも目を配りつつ、足元の「様子見」局面が中長期的なトレンド転換につながるのかどうかを慎重に見極める必要がありそうです。










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