
ロシアが一方的に併合し実効支配しているウクライナ南部のクリミア半島において、6月26日、ロシア側当局が非常事態宣言を発表しました。この非常事態宣言は、同半島とロシア本土を結ぶ補給路に対し、ウクライナ軍が攻撃を強化したことで生じた深刻な燃料不足や生活インフラへの影響に対応するためのものです。クリミア半島と最大都市であるセバストポリの首長は同日、通信アプリ上で「経済的な問題を調整し、生活の維持に必要な機能を安定させる」ことが主な目的であると説明しています。
ウクライナ軍は、ロシア軍の兵站を断つために、人工知能(AI)を搭載して標的を自律的に識別できるドローン(無人機)を新たに投入しています。この高度な技術により、ロシア側の電波妨害を突破し、半島を結ぶ幹線道路や橋、さらには海上輸送ルートへ的確な打撃を与えているもようです。ウクライナのゼレンスキー大統領は、一連の石油施設や補給路への攻撃について、「自国民に向けられたロシアの容赦ない攻撃に対する、正当な防衛措置である」と主張し、半島を孤立化させる作戦の意義を強調しています。
これに伴い、クリミア半島では5月下旬から始まったガソリン販売の制限が強化され、6月21日からはガソリンスタンドでの一般向けの燃料販売が全面的に停止されるという異例の事態に至りました。当局はドローンのエンジン音の探知を優先するため、夜間のバイク走行を禁止する措置も講じています。
電力供給は現在のところ安定を保っているものの、一部の住民の間では将来的な物資不足の長期化を見越して穀物や砂糖などの食料品を備蓄し始める動きもみられ、2014年の併合以来となる深刻なエネルギー危機が浮き彫りになっています。
ロシア国内にも波及するガソリン販売制限と供給網の混乱
ガソリン販売の制限はクリミア半島のみならず、ロシア本土全体へ波及しています。ウクライナ軍の製油所攻撃により、これまでに国内の計16カ所の施設が被害を受けました。これにより、ロシアの原油精製能力は最大で4割低下したとの見方も出ています。
燃料不足を受け、オムスク州では給油量を1回あたり40リットルに制限する措置が取られました。モスクワ市内では6月26日昼、複数の給油所でレギュラーガソリンが売り切れとなり、価格が通常の1リットル当たり70ルーブルから95ルーブルへ急騰しています。
ロシア当局は消費者の「パニック買い」が原因と主張していますが、個人売買サイトでの高額転売が相次ぐなど混乱は明らかです。プーチン大統領はすでに実施しているガソリンや航空機燃料の輸出禁止に加え、新たにディーゼル燃料の輸出禁止も検討しており、市民生活への影響は一層拡大する見通しです。












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