「マルサ」告発82件、平均脱税額は過去10年で最高 2025年度査察状況

「マルサ」告発82件、平均脱税額は過去10年で最高 2025年度査察状況

国税庁が2025年度の査察状況を公表し、全国の国税局査察部、通称「マルサ」が検察庁に告発した脱税事件の総額が約84億円に達しました。告発件数は82件で、1件あたりの平均脱税額は約1億200万円と過去10年間で最も高い水準です。一方、件数自体は前年度から減少しており、少数の事案に多額の脱税が集中する傾向もみられます。

公表された映像では、クローゼット奥の缶や部屋の隅に置かれたスーツケース、ボストンバッグなどから多額の現金が発見されています。スーツケースだけで2億円、缶の中に1億円が隠されていたケースもあり、現金を物理的に隠匿する古典的な手口が用いられていました。

業種別では、マンションの大規模修繕工事や電気工事などを行う建設業の告発が18件と最も多く、都市部のマンション需要の高まりが背景とされています。また、SNSを使って活動するインフルエンサーによる脱税や、不正資金を海外に移転して隠す国際取引絡みの事案も含まれており、デジタル化や国境を越える経済活動の拡大に伴う脱税手口の多様化が浮き彫りになりました。

国税局査察部は、悪質な脱税に対しては強制調査や刑事告発を通じて厳正に対処する姿勢を強調しつつ、新しい業種や業態の動向を注視しながら調査手法の高度化を進める方針です。消費税の不正還付や国際取引を利用した脱税は国庫金の詐取にもあたる悪質性の高い事案と位置づけられており、海外税務当局との連携強化も課題となっています。

「ゲーム課金」など新たな資金の行き先 納税意識のギャップも

今回の公表では、脱税で得た不正資金の使途に関する変化も注目されています。国税庁によると、これまで預貯金や資産形成に回されることが多かった脱税資金の一部が、オンラインゲームへの課金などに約3000万円規模で充てられていた事例が確認されました。

デジタルコンテンツへの支出に不正資金が利用されていたことは、ネット上の経済圏と現実の税務行政との間に新たなギャップが生じていることを示しています。

インフルエンサーなどネット上で収益を得る事業者の中には、広告収入やファンからの支援金を適切に申告していないケースもあり、国税庁はこうした新しいビジネスモデルへの対応強化を進めてきました。

一方、建設業など脱税リスクが指摘されてきた分野では、架空取引や売上・所得の過少申告に加え、海外資産を活用した隠匿など手口の高度化が顕著です。国税庁は「不公平感を抱くようなことがないように、悪質な脱税者はしっかりと摘発していく」として、AIやデータ分析の活用による選定調査の精度向上や、国際取引を継続的に追及する考えを示しています。

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