
米電気自動車(EV)メーカーであるテスラの欧州販売の回復が、5月に入り加速しています。欧州自動車工業会(ACEA)が6月23日に発表した最新のデータによると、5月の欧州連合(EU)各国の乗用車新車登録台数は前年同月比3.2%増の95万5013台となりました。この中で、テスラの同地域における5月の新車登録台数は前年同月の2.5倍となる2万1767台(元記事の2倍余りに該当)を記録し、これまでの一時的な低迷から力強い持ち直しを見せています。2026年1-5月の期間においても、前年同期比57%増と大幅なプラス成長を遂げています。
テスラの販売を牽引したのは、ドイツや英国などの主要国における力強い需要の伸びです。昨年の欧州市場では、主力モデルの老朽化による陳腐化や、高金利による自動車ローンの負担増などが重なり、テスラの需要が落ち込む場面が見られました。しかし現在は、戦略的な価格設定を施した「モデル3」の廉価版(スタンダードレンジ)の投入や、地政学的リスクに伴う欧州のガソリン価格高騰を追い風に、消費者のEVシフトを再び確実に取り込み、力強い回復を見せています。
一方で、テスラの回復以上に市場構造を大きく揺るがしているのが、中国系メーカーの目覚ましい躍進です。中国のEV大手である比亜迪(BYD)の5月の販売台数は、前年同月の2.6倍に及ぶ2万6017台を記録しました。これにより、フォルクスワーゲン(VW)などの伝統的な欧州メーカーは、テスラと中国勢の双方から激しい挟み撃ちに遭う形となっており、競争激化による圧力が極めて強まっています。
日本メーカーの動向に目を向けると、各社の戦略の違いにより状況は鮮明なコントラストを描いています。ハイブリッド車等で独自の存在感を示すマツダ(1万921台・前年同月比22.4%増)とホンダ(4154台・同19.4%増)が二桁の大幅成長を達成しました。その一方で、市場規模の大きいトヨタ(レクサス含む)は微減となる6万7162台(同0.7%減)にとどまりました。さらに、本格的な電動化ラインナップの拡充が急務となっている日産は1万2652台(同8.5%減)、三菱自動車も同46.7%減と、厳しい競争環境の中で足踏みが続いています。
EV市場を牽引する人気モデルの動向と中国勢の浸透
コンサルティング会社であるEYの調査によると、5月の西欧全体における電気自動車(EV)販売台数では、テスラのスポーツタイプ多目的車(SUV)である「モデルY」とセダンの「モデル3」がトップ2を独占しました。
これに続く3位と4位には、チェコの自動車メーカーであるシュコダ(フォルクスワーゲン・グループ傘下)の「エルロック」および「エンヤク」がランクインしています。さらにその後には、親会社であるVWの「ID.3」や、中国のリープモーター(零跑汽車)が展開する「T03」が続いており、多様なブランドによる激しいシェア争いが浮き彫りになっています。
EYは、「中国の自動車メーカーは、ゆっくりだが着実に欧州で市場シェアを高めている」と指摘しています。特に、価格競争力に優れた中国の低価格モデルは南欧諸国を中心に売れ筋となっており、既存の欧州メーカーにとっては、消費者の価格志向にどのように対応していくかが今後の大きな課題となりそうです。












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