
日本政府は、東京都小笠原村・南鳥島沖の海底レアアース(希土類)泥の開発で、2027年2〜3月に産業規模の実証試験に踏み出す見通しです。水深約6000メートルの海底からレアアース含有の泥を吸い上げ、1日約350トンの採取能力を検証しながら、商業化に向けた採算性や技術的課題を見極める計画です。
今年2月には、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」が南鳥島沖で試験採取に成功。深海からの泥の引き揚げ装置が実際に機能することを世界で初めて確認しました。
政府はこの成果を踏まえ、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の枠組みで処理施設の整備や運搬体制の構築を進め、2028年度以降の本格商用化を視野に入れています。令和7年度補正予算では、脱水処理施設の建設などに164億円が計上済みです。
現在、日本はレアアース供給の約63%(2024年時点)を中国からの輸入に依存しており、電気自動車(EV)やスマートフォンなど幅広い産業にとって供給リスクが課題となっています。南鳥島沖のレアアース泥は産業的開発が可能な規模の埋蔵量があるとされ、国産資源として活用できれば、経済安全保障の面で大きな意義を持つとみられています。
一方で、南鳥島は東京都心から約1950キロ離れた外洋に位置しており、深海から大量の泥を安定的に採取し、遠隔地で脱水・処理を行うコスト負担は小さくありません。距離と水深という二重のコスト圧力を抱えながら、いかに商業的な採算性を確保するかが、国産レアアース実現への課題といえます。
海洋ドローンとMDA強化でシーレーン安全確保へ
海底資源開発と並行して、政府は海洋ドローン(無人機)や海洋状況把握(MDA)能力の強化にも力を入れています。官民投資ロードマップでは、海洋ドローンに2040年度までで1.2兆円、MDAにも同額の1.2兆円の官民投資が計画されており、まずは公共調達を通じた初期需要の確保で民間企業の参入と技術開発を促す方針です。
海洋ドローンと並行して、MDAではインド太平洋地域での各国の能力構築支援を進めることで、自由で開かれた海洋の維持とシーレーン全体の安全確保を図ろうとしています。東南アジアなどへのMDAサービス提供や情報共有を進め、海上交通路や海底ケーブルの保全にも貢献する狙いです。
南鳥島沖レアアース開発、海洋ドローン、MDA強化を組み合わせた海洋戦略は、資源確保と安全保障を一体で捉える日本の新たな海洋政策の柱となりつつあります。








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