
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)で、世界全体で最大10万人規模に及ぶ人員削減の検討が進んでいるとみられています。EVシフトのつまずきと中国メーカーとの競争激化が背景にあるとされています。
報道によると、新たな再編ではドイツ国内の4工場閉鎖が選択肢に浮上しました。北部ハノーバー、エムデン、東部ツヴィカウにあるVW拠点に加え、南西部ネッカーズルムにあるアウディ工場の扱いが焦点です。VWはこれまでも、2030年までにドイツ国内5万人の削減方針を掲げており、今回の10万人削減案はその規模を大幅に上回る「追加策」と位置付けられています。
4工場すべてが閉鎖された場合、新たに4万5000人超の雇用喪失につながる恐れがあり、これは既存の5万人削減に上乗せされる計算です。今後5年間の投資計画も約15%圧縮し、1300億ユーロ強に抑える方針も示されています。この再編計画は、7月9日に開かれるVW監査役会で協議される見通しです。
VWはこれまでも段階的な人員調整を進めてきました。2024年末の労使合意では、解雇ではなく退職勧奨など自然減の形で3万5000人を削減するとともに、過剰な生産能力を約73万4000台分縮小することで合意しています。
背景には、巨額投資を続けてきたEV事業の販売不振や、中国勢の急速な台頭があります。中国市場ではBYDなどの地場メーカーが価格競争力とEV技術を武器にシェアを拡大。VWは主力市場での競争力維持に課題を抱えています。さらに、トランプ政権による高関税政策が欧州メーカーへの逆風となっているほか、世界的な物価高や景気減速も加わり、自動車需要の先行きは不透明です。
工場閉鎖が欧州産業・雇用に与える影響
VWの再編計画は、同社にとどまらず欧州産業と地域経済に広く影響を及ぼす可能性があります。労働組合側は、過去の合意に「工場閉鎖や業務上の理由による人員削減は排除する」との文言が含まれていたと主張しており、新たな方針が労使関係に及ぼす影響も注目されています。
欧州の自動車メーカーは、ソフトウェア開発やバッテリー技術など新分野への投資を加速させるなかで、従来型の大量生産モデルからの脱却を迫られている状況です。VWの大規模リストラは欧州産業構造の変化を象徴する事例となり得る一方、EV普及のペースや政策支援の在り方について、欧州全体の議論を呼ぶ可能性があります。












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