
ソフトバンクグループは6月21日、東京都内で定時株主総会を開き、孫正義会長兼社長がAIと人工超知能(ASI)を軸にした長期戦略を説明しました。人工超知能(ASI)時代を見据えた長期成長戦略として、2042年までに純資産価値(NAV)を1000兆円規模に引き上げる構想を示しました。
孫氏は、保有株式の時価評価額から純有利子負債を差し引いた純資産価値(NAV)を、今後16年間で現在の約14倍となる1000兆円へ拡大する目標を掲げました。
総会で示された成長の柱は、米オープンAIと連携した「AIモデル」、スイスABBのロボティクス事業買収を含む「ロボット」、傘下の英アームによる「半導体」、欧米での大規模データセンター開発などによる「AIインフラ」の4分野です。孫氏は、これら4分野で「圧倒的なナンバーワンになりたい」と述べ、AIが関わるデジタルとフィジカルの両領域で世界首位のポジションを築くと強調しました。
背景には、人類の英知の「1万倍」の知能を持つASIが今後10年程度で実現するとの見通しがあります。
孫氏は、SBGの使命を「人類の進化」に置き、「ASIを実現しながら人類の圧倒的な進化に貢献したい」と語り、半導体チップ、データセンター、ロボットにグループの総力を挙げる方針を示しました。
同社のNAVは、2010年時点の約3兆円から2026年6月23日時点で約74兆円へ拡大しており、一方で時価総額は約37兆円とNAVの半分にとどまっています。
孫氏は、これまで16年間で15倍、さらに16年間で25倍の拡大を達成してきたと振り返り、「もう一回、ここから同じ16年間で1000兆円を目指す」と株主に向けて力強く宣言しました。
「人生50カ年計画」を修正、70代まで経営継続を明言
孫氏はかつて、60代で次世代に事業を引き継ぐ「人生50カ年計画」を掲げていましたが、今回の総会ではこの計画を自ら修正する姿勢を明らかにしました。
今年68歳となった孫氏は、「引退している暇はない」「もうあと10年か15年頑張るぞ」と述べ、70代にASIの実現に取り組む「人生60カ年計画」へ軸足を移す考えを示しました。
株主総会では、AIブームを「バブル」とする見方に対して、「AI革命は始まったばかりであり、『バブル』という言い方はAIへの冒涜だ」と反論し、長期的な投資スタンスを強調しました。
NAV拡大を「金の卵」に例えつつ、投資会社として育成中の事業価値が市場で十分評価されていない現状も示し、株価上昇による株主価値創出を重視する姿勢を改めて訴えました。
SBGは、オープンAIへの出資や英アームの事業拡大、米政府などと協力した巨大AIデータセンター計画、ABBロボティクス事業の買収合意などを通じて、「超知性時代の社会基盤で世界一になる」とのビジョンを具体化しようとしています。孫氏の「NAV1000兆円」構想は、足元の業績予想ではなく、ASIを見据えた16年先の企業価値拡大を目指す長期ビジョンとして、国内外の投資家の注目を集めています。












-300x169.jpg)