
国税庁が7月1日に発表した2026年分路線価で、東京都の標準宅地の平均変動率は前年比9.4%増となり、全国で最も高い上昇率を記録しました。上昇は5年連続です。全国約31万地点の標準宅地平均変動率は2.9%増で、現行の算出方法となった2010年以降で最大の伸びとなりました。
東京国税局管内では、台東区浅草1丁目の雷門通りが27.5%の上昇率で3年連続の都内トップ。訪日客需要の強さがうかがえます。次いで足立区の北千住駅西口広場通りが24.2%、中野区の中野駅北口駅前広場前が22.4%となり、いずれも再開発が進む駅前エリアで大きく伸びました。
都内48税務署管内の最高路線価はすべての地点で上昇し、下落地点がないのは4年連続です。最高価格地点は41年連続で中央区銀座5丁目「鳩居堂」前が維持し、1平方メートルあたり5336万円でした。バブル期のピーク(1992年、3650万円)の1.5倍近い水準に達しました。
こうした地価上昇の背景には、複数の要因が重なっています。浅草のようにインバウンド需要が観光地の路線価を押し上げている一方、北千住や中野など再開発が進む駅前エリアでは、住宅需要とオフィス需要の両方が地価上昇に寄与しています。
なかでも都心のオフィス市場は、異例の逼迫状態です。JLLの調査では、東京都心5区のAグレードオフィスの空室率が2025年第3四半期に0.9%まで低下し、いわゆる「0%台」に突入。第4四半期も0.7%を維持しました。
千代田区など一部エリアでは1%を切る水準まで空室が消化されており、市場では「空室枯渇時代」とも呼ばれています。三菱地所リアルエステートサービスなどの調査でも、募集賃料は上昇を続けており、都心では希望条件のオフィスを確保しづらい状況が続いています。
コロナ禍からの経済活動回復や在宅勤務からの揺り戻し、人材獲得競争を背景に、企業が働きやすさやブランド価値向上を狙って好条件のオフィスへ移転・拡張する動きも、需要を押し上げる一因です。
路線価は今後も上昇続くか 供給見直しとリスク要因
都心オフィスの逼迫は、路線価の上昇にも直接反映されています。オフィス不足が企業の間で続くなか、賃料の上昇圧力が地価を押し上げる要因となりました。銀座や渋谷など主要エリアの路線価が高水準を維持する背景です。
今後は、建築費の高騰や環境規制の強化により、大規模な新規供給計画の見直しも出ています。限られた供給のまま需要が高止まりすれば、路線価の上昇傾向はしばらく続く可能性があります。一方、テレワークの再拡大や景気減速が重なれば、オフィス需要は調整局面を迎えかねません。企業や投資家にとって、オフィス市場の動向は路線価を占ううえで注視すべき指標といえそうです。










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