レアアース磁石の分解疑惑、中国当局が富士電機社員2人を正式逮捕

レアアース磁石の分解疑惑、中国当局が富士電機社員2人を正式逮捕

中国・遼寧省大連の税関当局が、富士電機グループの日本人社員2人を6月中下旬に正式逮捕していたことが分かりました。2人は5月18日と25日に同地で拘束されており、6月24日に日本政府が公表していました。今回の逮捕により、身柄拘束が今後数カ月にわたって長期化する可能性が高まっています。

容疑は、輸出入が禁じられた貨物の密輸を取り締まる中国の刑事規定「国家輸出入禁止貨物密輸罪」です。中国税関当局が問題視しているとみられるのは、レアアース(希土類)磁石を組み込んだモーターなどの製品を、分解できる状態のまま加工して輸出しようとした点です。

輸出後に製品を分解して磁石だけを取り出す意図があったとの疑いが持たれており、管理対象外の品目として扱ったうえで、日本側で部材を取り外す計画だった可能性が指摘されています。

富士電機側は「当社が発表したものではなく、現時点でコメントはない」として、詳細について公表を控えています。一方、日本政府は在瀋陽日本総領事館や在大連領事事務所を通じて、面会や情報収集を続けているとしていますが、捜査中を理由に具体的な容疑の中身や社員の勤務実態などについては明らかにしていません。

中国の司法手続きでは、身柄拘留から37日以内に正式逮捕するかどうかを決定する仕組みとなっています。逮捕後は、起訴の可否を判断する審査期間として最長7カ月程度の拘束が可能です。今回、2人が正式に逮捕されたことで、事案は捜査段階から本格的な刑事手続きに移行したとみられ、早期解放の見通しは一段と不透明になっています。

レアアース規制強化と企業リスク

今回の逮捕事案は、中国がレアアースを戦略物資と位置付け、輸出規制を強化する過程で起きたと報じられており、日本企業のサプライチェーンに影響しかねない案件です。レアアース磁石は高性能モーターや発電設備に不可欠な素材で、富士電機も発電プラントや産業機器を手がける重電メーカーとして、こうした部材を幅広く扱っています。

中国は2024年12月にデュアルユース品の輸出条例を施行し、2025年4月には重希土類のジスプロシウムなど7種を輸出規制の対象に加えました。2026年1月には対日輸出規制をさらに強化しています。今回の事案は、こうした規制強化のさなかに起きました。

日本政府は、中国側から「国家輸出入禁止貨物密輸罪」に関する通報を受け、早期解決に向けて外交ルートで働きかけを続ける方針です。同様の拘束事案が相次げば、日本企業の中国ビジネスに影響を及ぼす恐れがあります。中国側は詳細な捜査内容を公表しておらず、違法性の認定基準がどこまで広がるのか、企業にとっても見通しを立てにくい状況です。

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